高校球児の素顔を追う、私の見た高校野球(その47)
こんにちは。
拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、
「私の見た高校野球(その47)」
です。
今後もこのシリーズを続けるつもりです。
私がやってきた野球取材の総括です。
取材期間 :
2000年~2014年(15年間)
その間に撮りためた写真が、
100万枚を超えました。
その写真1枚1枚は、
高校球児たちの歴史と同時に、
私の歴史でもあります。
写真ですので、
その瞬間、
高校球児たちと同じ場所にいなければなりません。
その時間と空間の中から、
私の感性で切り取ったのが、
この写真集です。
だから、
その写真の中には、
私の気持ちが入っています。
それは「こだわり」と、
いったほうがよいかもしれません。
その「こだわり」を集大成したものが、
今回のシリーズ「私の見た高校野球」です。
なお、素材は下記HPからの抜粋となります。
- 1.甲子園出場が決まった瞬間
- 2.底抜けに明るいキャプテン、しかし不運が
- 3.こういうキャプテン、大好きです
- 4.壮絶な死闘、もうこうなったら勝ちも負けもない
- 5.まとめ
- 【関連記事】
- ※更新履歴※
- ※CMリンク※
1.甲子園出場が決まった瞬間
ちょっと古いですが(いえ、かなり古いですが)、
心に残っている場面を思いだします。
あれは、
2002年になります。
やっぱり、かなり古い話です。
あの年の拓大紅陵には、
忘れられない選手が二人いました。
一人は信太(しだ)投手。
そしてもう一人は、
キャプテンの飯塚捕手です。
まず信太(しだ)投手の写真を。
(飯塚選手のはのちほど)
投球フォームはサイドスローである。
球威こそないが、
コントロールを信条とする。
ボールが低い位置から出てきて、
しかも、
バッターの手元でのびるので打ちにくい。
ちなみに、
故小枝監督は、
(と思う)
話を戻そう。
夏の千葉大会の決勝は、
この試合もエース同士の投げ合いだった。
中央学院は池田投手。
ご覧のとおり、
ルックスのいい「好青年」である。
顔では池田くんの勝ちであろう。
冗談はさておいて試合に戻ろう。
勝負が決まったのは、
ゲームが後半戦に入ってすぐだった。
6回表である。
2アウト、
走者一塁、二塁から飯塚くんが、
ホームランを放ったのである。
ライトスタンドに突き刺さる弾丸ライナーである。
高校生離れした打球である。
今でも私の脳裏にあの打球が残っている。
そして、
ダイヤモンドを回るあの悠々とした態度が。
こいつ、本当に高校生なのか?
しかし、
チームにとっては頼もしい存在だ。
ちなみに、
普段の飯塚くんは、
茶目っ気たっぷりな人なつこいやつだ。
それでは、恒例のプレイバックである。
拓大紅陵の優勝シーンをどうぞ。
(写真) 2002年7月28日 千葉マリンスタジアムにて撮影
2.底抜けに明るいキャプテン、しかし不運が
写真は壮行会のときのものです。
3年生は「夏」が終わると野球部を去っていく。
その最後の壮行会です。
写っているのは、
志学館の主将・生田(いくた)くんです。
個人名であるが、
決して悪い話ではないので、
許してもらえるだろう。
(と、いつも勝手に思っている)
その隣が(といっても加工写真ですが)、
生田くんのお母さんです。
手に持っているのが、
お母さんが折った千羽鶴です。
この千羽鶴には、
お母さんのいろんな「思い」が込められているました。
・ケガなおるように。
・キャプテンを無事つとめられるように。
・みんなに迷惑をかけないように。
・最後までしっかりと野球を。
・その野球を1日でも長く。
彼は、底抜けに明るい選手だった。
学校でも人気者でした。
しかもキャプテンの自覚に燃え、
率先してチームを引っ張っていました。
ところが、あるとき不運に襲われました。
2002年6月2日 於.袖ヶ浦球場
千葉県南部大会の試合中のときです。
彼はショートであった。
上の写真は別の試合のときのものであるが、
いつも華麗なプレーを魅せていた。
しかも、強肩を武器にしていた。
ところが、ところがである。
この打席のあとに事故が起きました。
守備についた生田くんが、
外野手からバックホームを中継したときに、
右腕の「肘(ひじ)」を痛めたのである。
このときの写真も撮っていたのだが、
探しても出てこなかった。
申し訳ない。
だが、この瞬間は、
いまでも鮮明に覚えています。
カメラの後ろに拓大紅陵の選手たちがいました。
次の試合に備えていたのであろう。
その選手たちが口を揃えて言った。
「やばいっ!」
彼はこのまま入院しました。
私も一度だけ見舞いに行きました。
この時期のケガは致命的です。
夏の大会まで2ヶ月を切っていました。
時間がなさ過ぎる。
退院しても右腕のギブスはまだ外せない。
しかし、時間は待ってくれない。
冷酷にも夏の大会が始まった。
彼は、ずっとベンチウォーマーだった。
そして、チャンスがやってきた。
佐倉戦の9回表。
代打で打席に立ったのだ。
しかし、凡打に終わった。
この試合の詳細は別のブログに譲る。
そして彼の「夏」が終わった。
ロッカールームでは彼は泣かなかった。
いや、
泣こうにも泣けなかったのであろう。
それだけキャプテンの重圧があったのだ。
私が彼の涙を見たのは、
冒頭の写真だけだ。
キャプテンの役割がとかれたときに、
彼が初めて泣いたのだ。
底抜けに明るい生田くん。
その底抜けに明るい生田くんが泣いた。
ここまで来るのに、
人知れぬ悩みや苦労を持っていたのだろう。
そう思うと、
こっちまで目頭が熱くなった。
このブログを書きながらでも同様だ。
涙が出そうだ。
(写真) 2002年7月21日 八千代市営球場にて撮影ほか
3.こういうキャプテン、大好きです
一人のキャプテンをご紹介します。
拓大紅陵の河本(かわもと)くんです。
双子の兄弟のようです。
兄弟とも拓大紅陵です。
そのうちの一人(お兄ちゃん?)がキャプテンなのです。
上の写真は春の県大会で優勝したときのものです。
中央が河本(かわもと)くんです。
一応、背番号は「7番」です。
レフトですね。
レギュラーポジションですが、
スタメンで見たことはありません。
(失礼)
どっちかというと、
ベンチウォーマーです。
でも、
れっきとした拓大紅陵のキャプテンなのです。
面白いことをご紹介します。
それは、
河本(かわもと)くんが打席に立ったときのことです。
なんと、味方から「ヤジ」が飛ぶのです。
周りから見ると、
まるで「イジメ」です。
ところが、
何となく楽しそうです。
本人も嬉しそう。
いやー、これには参りました。
へえー、こんなチームがあるんだ。
ええっ?!、
こんなキャプテンがいるんだ。
そうなんです。
河本(かわもと)くんは、
仲間に信頼されているのです。
河本(かわもと)くんだったら、
なんでも相談できるのです。
河本(かわもと)くんは、
みんなに選ばれた拓大紅陵のキャプテンなんです。
そんな信頼感が、
あの「ヤジ」に表れていたのです。
この年、
拓大紅陵は春の大会どころか、
夏の大会も制覇しました。
もちろん、
力のある投手やバッターがいたから、
優勝できたのでしょう。
それは疑う余地はありません。
一方で、
キャプテン・河本(かわもと)くんの存在感が、
大きかったと思っています。
学生時代や社会人と、
ラグビーのキャプテンをしてきた私としては、
そう確信している。
(写真) 2002年6月8日 袖ヶ浦球場にて撮影ほか
4.壮絶な死闘、もうこうなったら勝ちも負けもない
壮絶な試合を見せてもらった。
2005年7月16日
青葉の森球場(千葉市)
千葉商大付 対 志学館
その試合を少しだけ再現しよう。
まず上のスコアボードを見てもらおう。
数字が並んでいるが、
計算するのが大変なぐらいの点が入っている。
しかも、リードしては追いつく。
抜きつ抜かれつの「打撃戦」である。
「乱打戦」という表現は避けよう。
この試合には、
あまりにも失礼だからである。
9回の裏を迎えて、
12対12の同点だ。
こうなったら、
両校とも応援というより「祈り」だ。
その息詰まる中で、
試合を決めたのは、
千葉商大付の四番バッターである。
初鹿野くんが左中間へサヨナラ打を放ったのである。
ゲームセットです。
試合終了です。
あっという間の幕切れだ。
喜びの涙。
悲しみの涙。
グラウンドもスタンドも、
涙、涙・・。
みんなの涙がグラウンドにスタンドに。
そんななかで私も泣いた。
今でも涙が出そうだ。
最後に記念写真を撮らせてもらった。
完全燃焼の顔、顔、顔だ。
高校野球はこうじゃなくっちゃ。
高校野球バンザイだ。
(写真) 2005年7月16日 青葉の森野球場にて撮影
5.まとめ
どうでしたか。
今回も厳粛な思いを込めて、
私の見た高校野球(その47)をお届けしました。
どの写真も思い出深いものです。
写真ですので、
その瞬間に私(カメラマン)が、
そこにいたことになります。
つまり、
球児達と、時間と場所を共有したのです。
しかも、
その瞬間は永遠に止まったきりです。
色あせることもありません。
その瞬間が永遠に存在するのです。
そう考えると、
そこに居合わせたことに感謝しなければ。
そう思いつつ本稿を閉じます。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
【関連記事】
※更新履歴※
【更新】2021年12月27日
少しだけ校正させていただきました。
※CMリンク※
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