映画「おくりびと」、今さらながら感動した
こんにちは、
拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、
映画「おくりびと」 のお話です。
おくればせながら、
この映画を最近見ました。
2008年の作品ですので、
10年遅れの鑑賞となります。
10年遅れとは遅すぎますよね。
恥ずかしい限りです。
鑑賞したのは、
映画館ではなく自宅です。
この映画は、
数々の賞を受賞しています。
高い評価の映画ですので、
一度は見ておきたいと思い、
TV放送(WOWOW)を録画しておいたのです。
しかし、
死をテーマにした映画は、
暗さが先に立って、
見る気がしませんでした。
ところが、
昨今の終活に代表されるように、
自分も死を見つめてみようと思ったときに、
この映画を思い出したのです。
死に対する心の準備をしておこうと・・。
それで見た結果ですが、
私がイメージしたものとは違っていました。
いい意味で裏切られました。
では、
その映画の感想を紹介したいと思います。
1.映画「おくりびと」
2008年の作品。
【概要】
ひょんなことから、
遺体を棺に納める「納棺師」となった男が、
仕事を通して触れた人間模様や、上司の影響を受けながら、
成長していく姿を描いた感動作です。
【キャスト】
【スタッフ】
【賞】
第32回日本アカデミー賞 最優秀作品賞
最優秀監督賞、最優秀主演男優賞ほか10冠達成
モントリオール世界映画祭・グランプリ受賞
2.私の感想
映画「おくりびと」をみた私の感想です。
私の感想は、
ほかの多くの人が思っているような、
そんな感想にはなりませんでした。
この映画をみたからといって、
「強く行きよう」とか、
「何か生きがいを見つけよう」
にはなりませんでした。
もちろん、
死生観をテーマにしたところもあると思いますが・・。
2-1.人間愛
この映画の狙いは、
「人間愛」ではないかと思っています。
「納棺師」をとおして、
あるいは、
「お葬式」や「火葬」といった、
厳粛な儀式をとおして、
様々な人々の「人間愛」を
描いているように思えました。
①夫婦間の愛
②親子の愛
③友人同士の愛
④そして家族の愛です。
主役の青年を納棺師として雇った社長(山﨑努さん)は、
面接もろくにしないで一発で雇いました。
しかも、
履歴書は一度も目を通さずに・・。
履歴書はテーブルの上にほおり投げたのです。
そこには、
何か「ぴん」と来るものがあったのでしょう。
それは、
人間を愛する心が、
その青年にあると、
直感したからでしょう。
その会社の女性事務員もそうです。
青年の優しさ、
素直さを察したからこそ、
思い出したくもない過去を、
打ち明けたました。
青年(納棺師)のお父さんが亡くなったことを聞いた、
女性事務員が言いました。
「ねえ、お父さんのところに行ってあげて」
そして青年は、
そのお父さん(故人)に最期の化粧しながら、
大粒の涙を流しました。
それは、
悲しさの涙ではないと思います。
たしかに、
お父さんは30年前、
青年を捨てて家を出ていきました。
しかし、
目の前にいる30年振りにあった、
亡きお父さんをみて、
その憎しみが消えたのです。
自分を育ててくれた、
感謝の気持ちになりました。
と同時に生前に、
なにもできなかった自分に、
後悔の気持ちがわき出たのです。
それが、
あの大粒の涙になったのです。
そうなんです。
それぞれの人が、
それぞれの人生の中で、
感謝と後悔を錯綜させながら、
人間愛に昇華していく。
そんな姿を、
この映画は表現したかったのです。
数々の賞は、
そういうところを評価したのでしょう。
無条件にいい映画です。
ジーンとくる映画です。
3.気に入ったシーン
気に入ったシーンは沢山あります。
中でも、以下のシーンが好きです。
3-1.父親の訃報を聞いて躊躇する
青年「自分を捨てた父親のところなんか行けるか」
事務の女性「私も6歳の息子を帯広に捨てて、
家を出て行ったのよ」
青年「会いたければ会いにいったらいいじゃないか?」
事務の女性「会いたいけど会えないの」
青年「子供を捨てた親はみんなそうなんですか?」
「だとしたら無責任すぎるよ」
事務の女性「最期の姿をみてあげて」
(青年が事務所を飛び出す)
|
(しばらくして、事務所にもどる)
青年「社長っ」
社長「・・」 なにも言わずに車のキーを青年に渡す。
社長「好きなの持っていけ」と、棺を指す。
3-2.お父さんの手には
青年がお父さんの旅立ちの準備をしているときに、
手に何かを握っているのに気づきます。
それは30年前に、
川原で「いしぶみ」をしたときに、
青年から父親に渡した石でした。
丸い小さな石。
「丸い」のは、
青年の平穏な気持ちを伝える石。
それを父親は大事に持っていたのです。
そして、亡くなるときも・・。
その石をそっと父親の手から取り出して、
身重の妻に渡します。
「元気な子供が生まれるように」
まるで、
おじいちゃんの気持ちを、
孫に伝えるかのようでした。
4.NHKでみた復元納棺師
この納棺師と同じ仕事をされている人がいます。
被災地の「おくりびと」こと、
笹原留似子(ささはら るいこ)さんです。
笹原さんは、
損傷した300人を超える遺体の傷を、
ボランティアで修復し、
家族に最後の対面をさせました。
修復された遺体は皆、
安らかな微笑みを浮かべた表情になり、
家族と最後の対面を果たしました。
笹原さんによって描かれた、
家族の対面場面を描いた絵(上)を通じて、
震災という悲劇の中に見いだされた、
家族の愛情の深さと、
慈しみ、そして人の優しさを見つめ直しています。
5.まとめ
どうでしたか。
この映画は10年前の映画ですので、
この映画を知らない若い人も、
多いかもしれません。
ただ主演の「もっくん」こと、
本木雅弘さんはご存じかと思います。
その「もっくん」が演じる納棺師は感動的でした。
迫真に迫った演技です。
遺体との接し方は丁寧で、優しい。
まさに、
遺体を崇拝している気持ちが溢れていました。
だから、
立ち会った遺族も感銘を受けたのでしょう。
実際の納棺師も、
映画のように素晴らしいと聞いています。
この映画を通じて、
その崇高な職業を知ることができました。
おなじように、
復元納棺師の笹原留似子さんも、
素晴らしい人です。
この納棺師の仕事を改めて考えてみました。
以下は私の結論です。
納棺師とは、
死の世界と生の世界を引き合わせる職業。
私のようなものは足もとにも及びません。
崇高な職業です。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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※更新履歴※
【更新】2020年1月4日、5月14日、9月27日、2021年2月22日、6月29日、2022年7月18日
少しだけ校正させていただきました。
【更新】2019年8月24日、11月4日
中身(文章)をマイナー修正しました。
【更新】2019年7月9日
「目次」を追加しました。
これで少しは読みやすくなったと思います。
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