こんにちは。
拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、
映画「となりのトトロ」について書きたいと思います。
あわせて、
2019年1月に起きた、
この映画と対比しながら考えてみたいと思います。
この映画は、
みなさんもご覧になったことがあるかと思います。
宮崎駿監督のアニメですよね。
もう30年も前の作品です。
ですので、
CGとかは使っていません。
全部手描きです。
ですので、
タッチが非常に細かく描かれています。
風に揺れる木々や木の葉っぱ。
川で泳ぐ魚たち。
電車や田んぼ、花、蝶々などなど。
これらの情景が、
実写のように細かいのです。
しかも、
物語が人間味にあふれています。
この情景と人間味あふれたストーリー。
これだけでも懐かしさを感じます。
心が温まります。
そこには、
日本人が失いかけたもがあります。
いえ、
既に失っているかも知れません。
1.概要
まずは映画の概要です。
1988年の作品。
宮崎駿が監督、原作、脚本を務めた、
スタジオジブリの劇場用アニメーション作品。
1-1.お化け屋敷
映画の冒頭、
主人公姉妹の姉サツキが引っ越した先で言います。
「お父さん、この家やっぱり何かいる」
それを聞いたお父さんは相手にもしません。
あっけらかんとしているだけです。
1-2.大人には見えない
でも、
妹のメイには、はっきり見えます。
「まっくろくろすけ」
そして、トトロに猫バス。
子供たちは、
画面のなかで大人には見えないものを、
本当に感じ取っているようです。
それは大人になると少しずつ減っていく
現実を超える想像力なのです。
1-3.大人でも楽しめる
「いつかトトロに会えるんだよ」
と、ワクワクしながら探したくなる思いは、
子供にしか感じられないけれど、
そんな希望や夢を持っていたことを思い出させてくれます。
そこが、
大人でも楽しめる理由なのです。
2.古き良き時代
最近の暮らしは文明が進み、
スマホなどの通信機器や、
新しい家電製品が出回っています。
おかげで、
たしかに便利な世の中になりました。
2-1.お隣の家に電話を借りる
この映画で描かれている日常は、
隣の家に電話を借りるなど*1、
今の若者たちは想像さえできない不便な日常です。
ですが、その分、
人との触れ合う機会が多くなり、
大らかに過ごせる毎日に、
郷愁を感じるところが沢山あります。
*1 病院から電報が来たことを、
サツキがお父さんに知らせるのに、
お隣の電話を借りています。
2-2.大人がなくしたもの
この映画を見ていると、
大人になって、
なくしたものがあることに気づかされます。
「まっくろくろすけ」
いつまでも見えていたい。
純粋な心を持っていたい。
3.懐かしいものが
この映画の時期は、昭和の初期頃でしょうか。
なつかしい物が出てきます。
3-1.三輪トラックにクラシックバス
まずは、
主人公家族が引っ越しに使った「三輪トラック」です。
その名のように、まさに「子供の三輪車」の形をしています。
前輪はひとつだけです。
ハンドルは、バイクや自転車のと同じ形です。
通りすがるバスは、ボンネットが突き出しており、
ウインカーは手動です。
エンジンをかけるのに、
「専用の棒」を回していました。
3-2.お風呂も
風呂は五右衛門(ごえもん)風呂です。
まさに「お釜」です。
だから、
底に足をつけると火傷(やけど)します。
ですので、
木の板(底板)を敷くのです。
この底板を足を使って、要領よく底に沈めます。
これが、結構難しいんですよ。
板の中心に足を載せなければなりません。
しかも、底まで沈めるためには力がいります。
でも、お風呂があったかです。
むしろ熱いぐらいです。
湯の温度は薪の量で加減します。
(釜戸で焚く人)「湯加減はどう?」
(お風呂のなかの人)「ちょうどいいよ」
3-3.蚊帳(かや)も
夏の夜の定番は「蚊帳(かや)」でした。
この蚊帳(かや)は、
トトロにもらった木の実をまいた畑を見るシーンで出てきます。
サツキとメイが蚊帳(かや)の上に乗ってふざけているシーンです。
このシーンをみて、
懐かしくなった人も多いのではないでしょうか。
4.村中が助け合う
次に特筆しておきたいのが村中の助け合いです。
4-1.メイがいなくなったとき
メイがいなくなってときに村中のみんなが助け合います。
池の中に入ってメイを探します。
池でメイのものと思われるサンダルが見つかったからです。
結局はメイのではないことが分かります。
「なーんだ、おばあちゃんの早とちりか」
「みんな悪いけど探しなおしだ」
「いいんだ。お互い様だから」
4-2.ささいなことだけど
助け合うといえば、
私の好きなシーンがあります。
4-2-1.引っ越しの時の「おはぎ」
引っ越しのときに、
お隣のおばさんが「おはぎ」を、
息子のカンタに持たせます。
引っ越しの片付けで、
お昼も食べていないだろうとの心配りです。
うれしいですよね。
お父さんも、サツキもメイもおいしそうに食べています。
4-2-2.雨降りのお地蔵さんの前で
雨降りにお地蔵さんの前で、
サツキとメイが雨宿りをしています。
そこに傘をさして通りかかったカンタが、
サツキにその傘を差し出します。
自分の傘を貸してあげるのです。
そして、
カンタはずぶ濡れのまま家に帰ります。
そのときのカンタの表情が、
とても素敵なのです。
嬉しそうなのです。
いいことをしたって、感じです。
私までがニコッとしてしまいました。
5.印象に残ったシーン
5-1.トトロとの出会い(メイ編)
メイがトトロと出会うのは、
大きな楠(くすのき)の根元です。
あの大きなトトロが木の根元で寝ているのです。
それを見たメイは驚きもしません。
それどころか、
お腹によじ登って、鼻をくすぐります。
おかげでトトロは目を覚ましてしまいます。
「ハ、ハークショーン」
メイがたずねます。
「あなたの名前は?」
「トー、トー、ローっ」
「トトロだね」
「トトロ」(かわいい声で)
といいながら、二人とも昼寝をするのです。
このシーンは、何回見ても、ほのぼのとします。
二人とも初対面ですが、
お互いが信頼しきっているのです。
恐がりもしなければ警戒もしません。
安心しきった気持ちが「昼寝」を誘ったのです。
5-2.トトロとの出会い(サツキ編)
次はサツキとトトロとの出会いです。
場所は雨降るバス停です。
サツキとメイが、
お父さんの帰りをバス停で待っています。
雨が降り出したので、
お父さんの傘を持ってきました。
しかし、
お父さんの乗ったバスは、なかなか来ません。
待ちくたびれたメイは、
とうとう、眠たくなってしまいました。
困ったサツキは、メイをおんぶします。
そこにやってきたのがトトロです。
頭には大きな葉っぱを付けています。
傘のつもりでしょう。
それを見たサツキは、お父さんの傘を差し出します。
トトロにとっては、初めての傘です。
その傘に落ちてくる雨粒が楽しそうです。
「ポトン、ポトン」
サツキも楽しそうです。
傘を貸してあげたサツキの優しさが、
トトロに届いたのでしょう。
トトロは帰り際に木の実を渡します。
そのころには、メイも目を覚まし、
トトロとの再会を喜びます。
バスから降りてきたお父さんが言います。
「待たせてごめんね」(お父さん)
「ううん、それより聞いて」(サツキとメイ)
「トトロに会ったの」(サツキとメイ)
嬉しそうです。
いいなあ。
5-3.ラストの病院で
サツキとメイは、
お母さんのことが心配で、
猫バスに乗って病院へ行きました。
でも、
二人は結局お母さんには会いませんでした。
お母さんの容態は何ともなかったからでしょうか。
それとも、
お父さんとの二人っきりに、気遣ったのでしょうか。
持って来たトウモロコシは、そっと、病室の窓際に。
お父さん「あっ、今あの木のかげで
サツキとメイが笑ったような」
お母さん「そうかもしれないわね」
と窓際に置かれたトウモロコシをお父さんに見せる。
そのトウモロコシにはこう書かれていました。
「おかあさんへ」
5-4.カンタがサツキとメイに傘を
印象に残ったシーンの追加です。
このシーンにはトトロは出てきません。
トトロは出てこなくても、いいシーンです。
私の中では一番のお気に入りです。
カンタ(サツキと同じクラスメイトの男の子)の気持ちが
よく描写されています。
5-4-1.学校帰りにどしゃ降りに
サツキとメイが学校から家に帰っている途中で、雨が降り出します。
しかも、その雨は段々ひどく・・・。
二人は傘を持っていません。
しかたなく、
お地蔵さんの小屋で雨宿りすることに。
5-4-2.雨宿りのところをカンタが通りかかる
ちょうどそのときにカンタが通りかかります。
照れ屋のカンタのことです。
傘を貸してあげたいのですが恥ずかしいようです。
サツキたちの前を通り過ぎていきます。
でも、考えが変わったようです。
もう一度、サツキたちのところに引き帰します。
5-4-3.サツキとメイに傘を貸す
戻ったカンタはサツキに傘を貸します。
その傘の貸し方がぶっきらぼうなのです。
何も言いません。
ただ傘を突き出すだけです。
無理やりにサツキに傘を持たせます。
5-4-4.傘を貸したカンタは一目散に走って家へ
傘を貸したカンタは走って家に帰ります。
もちろん、雨は降ってます。
どしゃ降りです。
傘はありません。
びしょ濡れです。
でも、何故かカンタはうれしそうです。
「やったー」
とでも、言いたそうな顔です。
傘を借りたサツキはカンタのことを見直したようです。
最初は「おまえの家はお化け屋敷」と言われ、
嫌な男の子と思っていましたが、
この件で見直したようです。
5-4-5.カンタ流のやさしさの表現
どうでしょうか。
カンタの気持ちがお分かりになったでしょうか。
これがカンタ流のやさしさの表現なのです。
照れ屋のカンタが、
精一杯できるやさしさの表現です。
だから、
そのやさしさがサツキには通じました。
そうなんです。
やさしさなんて、言葉なんかいりません。
格好をつけることも必要ありません。
そこに、
気持ちと、
ちょっとだけの勇気があれば良いのです。
作者の宮崎駿は、
そのことが言いたかったのでしょう。
6.千葉県野田市の児童虐殺死について
この事件の詳細は拙作ブログをみてください。
助けることができた児童虐待、千葉県野田市で起きた10歳女児死亡 - 知って得・あなたの生活をもっと豊かに!
児童虐待を検証する、千葉県野田市で起きた10歳女児死亡 - 知って得・あなたの生活をもっと豊かに!
許せない子供の虐待、千葉県野田市で起きた10歳女児死亡を追う - 知って得・あなたの生活をもっと豊かに!
映画「となりのトトロ」との対比です。
6-1.両親がやさしい
映画の両親はとてもやさしかった。
決して裕福ではなかったでしょう。
お母さんは病気で入院中です。
暮らしも大変だったと思います。
それでも、
家族が助け合って暮らしています。
昔は、こんな生活が当たりまえでした。
映画だからではありません。
当たり前の庶民の生活でした。
そこには、虐待などはありませんでした。
6-2.サツキやメイがやさしい
この姉妹が素直で純粋でした。
とくに姉のサツキはしっかりしています。
姉だから無理をしていたのでしょう。
そのことは、お母さんが一番良く知っていました。
「サツキの髪はごわごわしているね」
「大きくなったらお母さんみたいな髪になる?」
「ちゃんとなりますよ」
「サツキはお母さん似だもん」
それを聞いたサツキは、
嬉しそうな表情をしました。
ニコッと笑いました。
ここで初めて、
普通の甘えん坊な女の子にもどります。
そこまでお母さんは読んでいたのですね。
これが親子なんです。
これが母親なんです。
ですが、
これも映画だからではありません。
どこの親子も、昔はこうでした。
ちょっと私のことも・・。
そういえば、私が親父と喧嘩して家を出て行ったときに、
そっと迎えに来てくれたのはお袋でした。
(ごめん、私の話なんかはどうでもいいですよね)
6-3.村のみんながやさしい
村のみんなが、やさしかった。
まるで、自分の家族のようです。
メイがいなくなったときに、
仕事や家事をやめて、探してくれましたよね。
これも映画だからではありません。
昔は、どこもこうだったのです。
私なんか、学校をさぼっていると、
よそのおっさんから、叱られたもんです。
(またごめん。私の話なんかどうでもいいですよね)
6-4.そこには、きれいな風景があった
昔はきれいな風景が沢山ありました。
山、川、田園、きれいな水、大きな木、きれいな花。
このきれいな風景の中で育てば、
やさしい人間ばかりになるのは当然です。
今回の事件は、
現在の殺伐とした風景とは
無関係ではなさそうです。
6-5.のんびりした暮らしがあった
とにかく、昔はのんびりしていました。
携帯やスマホはありませんでした。
灯りも裸電球だけでした。
お風呂も釜焚きです。
不便な生活でしたが、
それを苦にする人はいませんでした。
今回の事件も、
恵まれすぎた生活が背景にあるのでは
と思っています。
人間は不便なほうが、のんびりできるのでしょうね。
6-6.ときがゆっくりと流れていた
そうなんです。
とにかく、ときがゆっくりと流れていました。
その時代にいたころは気づきませんでしたが、
今になって思えば、
とにかくすべてがゆったりしていました。
6-7.かわいそうです
亡くなった心愛(みあ)さんは、
サツキと同じ年頃だったと思います。
そう考えると、
この二人のギャップが大きすぎます。
心愛(みあ)さんと、
この映画との大きなギャップに、
私は強い憤りを覚えます。
その憤りは、虐待した両親にだけではありません。
もちろん、両親は憎いですよ。
でも、私が一番憎いのは、周りの大人たちです。
周りに映画のような大人たちがいたなら、
こんな悲しいことは起きなかった。
そして今、
政治家が思い出したように対策に乗り出しました。
「再発防止」、「虐待根絶」
彼らがやろうとしているのは、下記の2つです。
①制度の見直し。
②職員(児童福祉司など)の増員。
もちろん、これらも重要です。
ですが、肝心なのが抜けていませんか。
「となりのトトロ」を見てください。
あのきれいな風景とやさしい心。
そして、「まっくろくろすけ」。
これが、見えないようであれば、
平和な世の中は作れません。
沖縄の海を汚しているのは、あなたがた政治家です。
防衛費に巨額な費用を使っているのは、あなたがた政治家です。
力に力で対抗するのは愚かなことです。
どこかの大統領なんかその典型です。
やさしさこそがすべてを解決するのです。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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ご参照いただければ幸いです。
最初の3件(硬派銀次郎、池中玄太80キロ、
男はつらいよ第39作)は、
直接いじめや虐待には関係ありませんが、
こんな世界だったら、
いじめや虐待はなくなるのになあと、
私の願望を込めて掲載させていただきました。
いずれも「となりのトトロ」と同じ昭和の作品です。
是非読んでみてください。
※更新履歴※
【更新】2019年12月27日、2020年2月12日、3月8日、4月22日、5月6日、9月18日
少しだけ校正させていただきました。
【更新】2019年9月13日
CMリンク追加。
【更新】2019年9月4日
写真x2枚追加しました。
【更新】2019年9月3日
下記項目を追加しました。
5-4.カンタがサツキとメイに傘を
【更新】2019年9月2日
中身を一部加筆修正しました。
懐かしの写真(三輪トラックなど)を追加掲載しました。
【関連記事】を追加しました。
【更新】2019年8月15日
中身(文章)をマイナー修正しました。
【更新】2019年7月29日
全体の構成を見直しました。
中身(文章)をマイナー修正しました。
【更新】2019年6月20日
「目次」を追加しました。
これで少しは読みやすくなったと思います。
※CMリンク※
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