池中玄太80キロ、このドラマには時代を超えた何かが
こんにちは、
拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、
テレビドラマを話題にしたいと思います。
そのドラマのタイトルは、
池中玄太80キロです。
このドラマを見たことがなくても、
この歌は聞いたことはあると思います。
もしもピアノが弾けたなら
主役・池中玄太に扮する西田敏行さんが歌っています。
ちなみに、
この「もしもピアノが弾けたなら」は、
パートⅡの主題歌です。
パートⅠの主題歌は下記です。
風に抱かれて
こちらも西田敏行さんが歌っています。
このドラマはめちゃくちゃ古いです。
1980年ごろに放送されたものです。
昭和の最盛期ごろですね。
しかし、
中身はちっとも古くはありません。
確かに、映像は4:3の古いタイプです。
(今のは、ワイドといって16:9です)
しかも、
画質は粗い(SD画質)です。
今のテレビ放送はHV画質ですので雲泥の差です。
◆人間味あふれたドラマ。
このドラマをひと言で言い表すと、
「人間味あふれた」となります。
とにかく主人公の池中 玄太(いけなか げんた)が
最高に「人間くさい」のです。
・まじめ
・誠実
・一途
・男らしい
・やさしい
・涙もろい
少し悪い言い方をすると、こうなります。
・不器用
・頭が固い
・ださい
・鈍くさい
・単細胞
・どじ
・短気
・おっちょこちょい
でも、そんなところをひっくるめて、
「人間味」あふれているとなるのです。
ちなみに、
池中玄太に扮している「西田敏行」さんも、
なかなか個性の強い役者さんですよね。
◆周りの人たちも温かい。
池中玄太以外にも、
周りの人たちがみんな「温かい」人ばかりです。
いろんな問題点や悩み事を、
自分のことのように考えてくれます。
間違っても、
興味本位や野次馬根性で口を挟むのではありません。
しかも、
その優しさがそれぞれ個性があるのです。
女性たちは普通のやさしさで接します。
ところが、
男性陣は、ちょっと(いえ、かなり)冷たいです。
「てめえのことだろう」
「だったら、てめえで何とかしろよ」
と、けんか腰です。
しかし、
その言い方には何となく愛情があふれているのです。
男同士のやさしさとでもいいましょうか。
不思議ですね。
言葉は荒々しいし冷たいのですが、
気持ちは温かいのです。
では、そのドラマを見ていきましょう。
- 1.概要
- 2.登場人物
- 3.私が見始めたきっかけ
- 4.第1話「ハロー!娘たちよ」
- 5.第2話「忘れてた!入学式」
- 6.第3話「やったぜ!特ダネ」
- 7.第4話「育てられなきゃ産むな!」
- 8.第6話「父に贈るカーネーション」
- 9.第7話「あたし、赤ちゃんが欲しい」
- 10.第14話「お母さんは一人だけ」
- 11.まとめ
- 12.寅さんに似ている
- 13.山崎銀次郎にも
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1.概要
このドラマは、
日本テレビ系列の「土曜グランド劇場」で放送されました。
(毎週土曜日21:00 - 21:54)
パートIは1980年4月5日から6月28日まで。
パートIIは1981年4月4日から8月29日まで。
パートIIIは1989年4月8日から5月6日まで。
スペシャル版は1982年と1986年、そして1992年に放送されました。
2.登場人物
池中玄太 - 西田敏行
池中鶴子 - 丘みつ子
池中絵里(長女) - 杉田かおる
池中未来(みく)(次女) - 有馬加奈子
池中弥子(やこ)(三女) - 安孫子里香
鳴山暁子(あきこ)・・アッコ - 坂口良子
楠英政(楠公(なんこう)さん)/大京通信社写真部長→大京グラフ編集長 - 長門裕之
前川秀也(ヒデ) - 三浦洋一
鳴山春江(あきこの母) - 丹阿弥谷津子
本城理三郎(鳥の研究家) - 宇野重吉
3.私が見始めたきっかけ
私がこのドラマを見たのは途中からです。
パートⅡからです。
ですので、
玄太の奥さん(鶴子さん)は既に亡くなっていました。
3-1.動機はカメラ(Canon F-1)
しかも動機が変わっていました。
ドラマの中に出てくるカメラに興味があったからです。
当時、私はカメラに興味を持っていました。
ドラマを見る直前に、
高級一眼レフカメラを買ったのです。
Canon F-1
このカメラは、
キヤノンの技術の総力を結集した、
最高級一眼レフカメラでした。
値段は、
たしか10万円はしたと思います。
1970年代ですのでかなりの価格でした。
このカメラを、
玄太をはじめ写真部の連中が使っていました。
丹頂鶴の撮影もこのカメラでした。
「カシャカシャ」という、
モータードライブの連写音がたまりませんでした。
3-2.しかし徐々にのめり込んでいった
最初の動機は不純でしたが、
徐々に中身に引き込まれていきました。
それは主人公の優しさです。
それと、
その父親をささえる3人の娘たちの「けなげさ」です。
「いいなあ」
と思ったのは1回だけではありません。
毎回ドラマが終わるころには目には涙であふれていました。
鼻水まで出てしまう始末です。(汚くてごめん)
4.第1話「ハロー!娘たちよ」
第1話です。
鶴子と結婚してから、死別するまでと、
残された子供たちとどう向きあっていくか、
玄太の苦悩の話です。
4-1.鶴子との出会い
鶴子のとの出会いは、
まさに「鶴」がきっかけでした。
出会いは、
玄太が「鳥」のことでお世話になっている研究家の家でした。
鶴子はそこで「家政婦」をやっていました。
その鶴子を見た玄太は「一目惚れ」してしまったのです。
(正確には、最初に出会ったのは研究家の近くの路地でした)
上の写真は鶴子にプロポーズしているところです。
このときの会話がおかしいのです。
鶴子「私には子供がいます」
玄太「いいよ、いいよ。そのほうが手間が省ける」
鶴子「3人もいるのよ」
玄太「子供は多い方が楽しくていいよ」
それで、
二人は教会で結婚式を挙げました。
ここでも、
泣き虫の玄太は、うれしくて泣き出す始末です。
ちなみに、仲人は職場の上司・編集長でした。
4-2.鶴子との別れ
ところが、
結婚して20日も経たないうちに鶴子は亡くなるのです。
死因は「脳内出血」でした。
4-3.子供たちが戻ってくる
さて、問題はこれからです。
残された3人の子供たちをどうするかです。
玄太一人では育てられません。
だって、
仕事もあるし家事もしなければならないからです。
いきなり3人の子供の面倒をみることなんて出来ません。
そこで、
親戚同士が話し合った結果、
親戚同士が分担して子供たちを引き取ることにしました。
やっぱり3人一緒は無理です。
だから、
3人を別々に引き取ることになったのです。
このシーンは残酷でした。
お父さんの玄太は、
この場には立ち会わなかったようです。
いえ、立ち会えなかったのでしょう。
会社でボーッとしているだけでした。
誰もいなくなった家で玄太は独りぼっち。
鶴子の遺影を見ながら寂しそうです。
でも、玄太は決断しました。
子供たちをバラバラにしてはいけない。
自分がなんとかするから、
もう一度この家でやり直そう。
「父さんと呼んでくれなくてもいいよ」
「無理することなんかないよ」
「最初は友だちでいこう」
「それでいいだろ」
これでまた4人が揃いました。
玄太は嬉しそうです。
ここでも、
玄太は泣き出してしまいました。
その晩、玄太は妻の鶴子に報告するのでした。
すると、鶴子はほほえんでくれました。
5.第2話「忘れてた!入学式」
さて、次は「ヤコちゃん」(末っ子)の入学式です。
末っ子の「ヤコちゃん」が初めて小学校に行くのです。
はちゃめちゃな玄太のことです。
何か問題でも起きなければいいのですが・・。
5-1.ヤコの机とランドセル
初めての小学校です。
いろんな道具が必要になってきます。
机、ランドセル、文房具、洋服・・
本人も周りも、
うきうき、そわそわです。
◆机は「お古」、ランドセルは親戚一同から。
机は高いので、大家さんからもらったのを使うことにしました。
その「お古」には、最初は抵抗があったのですが、
お姉ちゃん(絵里ちゃん)が説得してくれました。
そしてランドセルは親戚一同で買ってくれました。
当初は机も新品となったのですが、
「勿体ない」と玄太が断りました。
5-2.昔の苗字が忘れられない
問題はこれからです。
「ヤコちゃん」は昔の生活が忘れられません。
なので、名前を「あだち(旧姓) やこ」と言っています。
このことを玄太は編集長に相談しました。
◆子供たちを本当に愛しているか?
そこで編集長が言いました。
編集長「玄太は本当に子供たちを愛しているのか?」
編集長「子供たちを通して、
鶴子さんを愛しているのではないのか?」
編集長「お前は子供たちのために死ねるか?」
玄太は改めて考えました。
そして、
子供たちをもっと愛さなくてはと思ったのです。
5-3.入学式で
入学式の日になりました。
入学式には、
玄太と長女の絵里ちゃんが行きました。
(写真のセーラー服の女の子が絵里ちゃんです)
そこで、一騒動が起きるのです。
先生が出席をとります。
名前を呼ばれた子は大きな声で返事をします。
先生「いけなかやこさん」
先生「あれ?」、「いけなかやこさん?」
そこで玄太が言います。
玄太「あのかわいい子が、うちのヤコです」
先生がヤコちゃんのそばに行きます。
先生「どうして返事が出来ないの?」
そこで、玄太が説明します。
前の父親が亡くなって、
今は玄太と結婚して名前が変わったことを。
そして、
玄太と結婚した母親は、
まもなく死んでしまったことも。
そして言うのです。
玄太「私はこの子に悪いことをしたと思っています」
玄太「この子は本当に寂しい思いをしているのです」
といいながら、
また泣き出してしまいました。
「みっともないからやめて」
長女の絵里ちゃんが止めに入りました。
(みんなの前で泣くお父さんが気の毒になったのです)
そうなんです。
玄太は必死なのです。
子供の気持ちになって、
その気持ちを説明しているうちに、
自分が何を言っているのか分からなくなってしまったのです。
5-4.お父さんの気持ちが通じた
その晩、ヤコちゃんはお父さんにあやまります。
そのときの場面です。
ヤコ「ごめんさい」
玄太「いいんだよ」
ヤコ「私って、そんなにかわいい?」
そうなんです。
あの入学式の日、
みんなの前で玄太が言った言葉を覚えていたのです。
「あのかわいい子がうちのヤコです」
子供心に、その言葉が響いたのでしょうね。
いえ、言葉ではありません。
「お父さんの心」が響いたのです。
「お父さんの気持ち」が、
ヤコちゃんに通じたのです。
そうして二人は抱き合います。
5-5.今度は大きな声で返事が出来た
そして翌日の学校です。
先生が出席を取ります。
玄太は心配で、家を早く出て学校に行きました。
教室の窓から見ています。
その様子は先生には気づいていました。
先生「いけなかやこさん」
ヤコちゃん「は~い」
今度は出来ました。
大きな声です。
先生も、ほっとしました。
良かったね。
こういう先生や親だったら「いじめ」なんかないよね。
「虐待」もないよね。
良かった。
本当に良かった。
6.第3話「やったぜ!特ダネ」
次は『特ダネ合戦』です。
玄太と娘たちの争いです。
(といっても、たまたま起きた事件ですけどね)
結局、玄太はヘマをやってしまい、
娘たちは表彰を受けてテレビにも出演しました。
見事、娘たちの「勝ち」となりました。
6-1.玄太、屋根から宙づり
玄太は特ダネを狙って他人の家の屋根に。
そこからスクープ写真を撮るつもりだったのです。
と、思いきや足を踏み外してしまいます。
顔は屋根の上。
足は部屋の中。
その部屋には若いお嬢さんが、
クラシック音楽を聴きながら、
絵を描いていました。
6-2.変わったお嬢さん
そのお嬢さんが変わっていました。
全然驚きません。
玄太と普通に会話をするのです。
しかも、楽しそう。
玄太とお嬢さんの会話です。
玄太「ちょっと怒るか、びっくりしてくださいよ」
お嬢さん「・・」(楽しそう)
玄太「変な家に入ってしまったなあ」
◆この場面を私なりに考えてみました。
この場面を私なりに考えてみました。
たしかに、
この場面の「やりとり」は通常では考えられません。
しかし、こと玄太に限れば、
そんなに不自然なことではないのです。
このお嬢さんも、
そのことが分かったのでしょう。
玄太のやさしさ、人間らしさ・・
というか、
あの、おっちょこちょい振りが・・。
その人なつっこさが、
お嬢さんを楽しくさせたのでしょう。
だから、びっくりもしなかったし、
怒りもしなかったのでしょう。
えっ?、漫画みたいだって?
そうなんですよ。
玄太って、漫画みたいなんですよ。
だから、
人を楽しくするのです。
だから、この場面は、
ちっとも不自然ではないのです。
6-3.半ペラが助けに
そこで、
何とかお嬢さんを通じて、
半ペラ(玄太の部下)と連絡がとれました。
その半ペラが助けに。。
半ペラが肩を貸して玄太を救出します。
その瞬間、二人は床に・・
6-4.編集長とまた口論
社に戻った玄太は編集長に大目玉。
そこで、いつもの口論が始まりました。
玄太「なんこうさんが『特ダネ、特ダネ』とあおるからですよ」
編集長「バカーっ、オレは他社を抜けと言ったが、
天井を抜けとは言ってないよ」
玄太「抜いたのは天井ではありません!屋根ですっ!」
まるで「子供のケンカ」です。
いえ、
「子供のケンカ」よりバカバカしいのです。
でも、かわいいですよね。
6-5.池中家にドロボーが
そのころ、玄太の家にドロボーが・・。
すぐに警察が来て、状況見聞を。
「犯人の顔や服装は?」
と聞かれても、何にも覚えていません。
そのドロボーと遭遇したのは長女と次女です。
絵里ちゃんとミクちゃんです。
6-6.ミクちゃんのお手柄
そのとき、
ひとりの警官が、
庭に落ちていたカメラを持って来ます。
それを見たミクちゃん(次女)が言います。
「あっそれ、私のカメラ」
「そうだ、このカメラにドロボーが写ってる」
「私、とっさにドロボーの顔を撮ったの」
早速、警察署で記者会見です。
玄太も顔を出すのですが「バツ」が悪そうです。
それもそのはずです。
プロの自分はヘマをやり、
素人の子供たちは手柄を上げたのですから。
6-7.ミクちゃんと絵里ちゃんがテレビに
そのお手柄の二人(ミクちゃんと絵里ちゃん)は、
テレビに出ることになりました。
しかし、
二人は最初はテレビ出演に躊躇(ちゅうちょ)していました。
お父さんに悪いと思ったからです。
(玄太に気遣っていたのです)
しかし、
玄太のすすめもあってテレビに・・。
そして、
二人は玄太の撮った鶴の写真を紹介するのです。
「これ、お父さんが撮りました」
やっぱりお父さんのことを思っていたのですね。
いい子供たちです。
こっちまで泣けてきました。
7.第4話「育てられなきゃ産むな!」
第4話は少し難しい話です。
シングルマザーが、
自分の子供の幸せを選ぶか、自分の幸せの選ぶかの問題です。
こういう二者択一の問題は現実にもあります。
さて、玄太はどうするでしょうか?
7-1.幼い男の子が捨てられた
テレビに流れていた「捨て子」の話を、
例によって玄太は「なんとかしなけりゃ」と思いました。
その結果、
「捨て子」の話題を新聞に取り上げれば、
母親が名乗り出てくるのでは、と思ったのです。
早速、その子をあずかっている「児童相談所」に、
取材に行くことになりました。
しかし、編集長の「なんこう」さんは玄太ではなく、
ヒデさんに行かせました。
玄太は子供のことになると、
「力み」すぎると”読んだ”からです。
7-2.記事のネタに
しかし、
ヒデさんの子供嫌いが災いして、
写真は撮れませんでした。
「こっちを向けよ!」
と、どなる始末です。
それでなくても、
母親に捨てられて傷ついている小さな坊やです。
結局、ヒデさんには無理でした。
7-3.玄太が坊やの写真を
こうなったら玄太しかいません。
といっても、
編集長から許可が出るわけがないので、
勝手に児童相談所へ行きました。
そこで、坊やと接触するのです。
いきなりカメラを向けるのではなく、
鳥の話から切り出しました。
ここは、玄太の人柄(ひとがら)の勝ちです。
すぐに坊やは打ち解けました。
◆不審に思った児童相談所は新聞社に電話
ここで面白い話を・・。
玄太の一連の行為を不審に思ったのでしょうか。
(普通の神経だったらそう思いますよね。
特に児童相談所のようなところではね)
児童相談所が新聞社に問合せの電話を入れたのです。
児童相談所の電話に出たデスクはこう答えるのです。
デスク「取材ですって?今日は誰もそちらに行かせていませんよ」
デスク「えっ鳥の話?」
(ここでピンと来た)
デスク「ああ、それひょっとして・・」
デスク「ずっくりむっくりの?」
デスク「一見、じゃがいも風の」
(玄太だ!!)
ここは笑えました。
「じゃがいも風」ですからね。
しかし、社内では大騒動です。
社会部と写真部のケンカになったのです。
まあ、これもいつものパターンですけどね。
7-4.お母さんが名乗り出た
そのとき、
児童相談所にお母さんが来ました。
坊やの母親です。
まずは、
児童相談所がその母親に話を聞きます。
母親「子供が出来たときに、男は別の女と出て行きました」
母親「子供育てることを、親や親戚に相談しました」
「しかし、そんな子供は面倒見られないと」
そんな話をドア越しに聞いていた玄太はいきりたちます。
突然、部屋の中に入ってきたのです。
「なんだとーっ!」
でも、お母さんは話を続けます。
母親「いい再婚話だったのです」
母親「でも子持ちはダメというのです」
母親「それで、じっくり考えました」
玄太「その結果が捨て子かーっ?!」
玄太「それって、勝手が良すぎるんじゃありませんか?」
母親「でも、これしか方法がなかったの」
「一度は二人で死のうとも思ったわ」
◆母親と坊やの再会。
母親と坊やの再会の場面です。
最初は坊やは反応をしませんでした。
子供なりに自分を捨てたということが分かっていたのでしょう。
しかし、玄太が坊やの気持ちをやわらげました。
そして、やっと親子の再会が果たせたのです。
◆しかし、玄太はシャッターが押せない。
その再会シーンを写真におさめるべきところを、
玄太はできませんでした。
ファインダーが涙で曇って、ピントが合わないのです。
7-5.親子の記事は没に
折角取材に成功した親子の再会でしたが、
これを新聞記事にするのは中止になりました。
アッコがそう決めたのです。
アッコ「この記事、中止にしよう」
アッコ「こんな記事出しちゃうと世間はどう思うか」
アッコ「母親は一生ダメになるよ」
アッコ「そっとしてあげようよ」
アッコ「お母さんも被害者なのかもね」
7-6.ヤコちゃんのパーティー
話は変わって、
玄太の家では飾り付けの真っ最中です。
ヤコちゃん(末っ子)のためにパーティーをすることにしたのです。
ヤコちゃんが学校でお友だちがいないのを玄太たちが聞いて、
パーティーでお友だちを呼ぼうということになったのです。
7-7.玄太とヤコちゃんは坊やのところに
ところが、
パーティー直前に玄太に電話がかかって来ました。
児童相談所からです。
あの坊やが夕べから泣いてばかりで、
困っているというのです。
しかも、
おじさん(玄太)に会いたがっているというのです。
しかたがないので、玄太は児童相談所へ・・。
そのときいいアイディアが思い浮かびました。
「そうだ、ヤコも連れて行こう」
7-8.なんこうさんが坊やを引き取る?
児童相談所で事情を聞いた玄太は、
もっと坊やがかわいそうに思えてきました。
このままではいけない。
誰かこの子を引き取ってあげなければ・・。
そのときに浮かんだのが「なんこうさん」です。
あの人ならきっと引き受けてくれる。
7-9.結局お母さんが
そこにお母さんがやってきました。
やっぱり坊やと別れることが出来なかったのです。
再婚よりも坊やとの生活をとったようです。
この場面をよく見てください。
母親と坊やが抱き合うシーンではありません。
ヤコちゃんが泣いているシーンです。
◆ヤコちゃんの涙の意味。
ヤコちゃんが泣いている意味を考えました。
1)坊やがお母さんに会えて良かった。
2)自分(ヤコちゃん)の母親を思い出した。
3)自分(ヤコちゃん)は坊やより恵まれていることが分かった。
どうでしょうか?
お分かりになったでしょうか?
とくに私が分かってもらいたいのは、
3)です。
学校でお友だちが出来ないと泣いていたヤコちゃんですが、
坊やのことを考えたら、
自分はもっと恵まれているではないか。
それがヤコちゃんに分かったのです。
それに気づかせるために、
玄太はヤコちゃんを、
坊やのところに連れて行ったのです。
そうなんです。
玄太という人は、
そんな人なんです。
バカで怒りっぽい人ですが、
こういうところには、
ものすごく敏感なんです。
普通の人とは違う能力を持っているのです。
能力とかそんなかっこういいものはなく、
単なる『野生の本能』でしょうけどね。
◆みんなが自分の家族のように思い合う。
どうでしょうか。
今回も心温まる話だったですね。
玄太の周りの人たちが、
みんな自分のことはそちのけで、
やさしく接してくれています。
うらやましいですよね。
えっ?
「これはドラマだから」
ちがいますよ。
昔は、どこでもこうだったのです。
だから、虐待やいじめはなかったのです。
8.第6話「父に贈るカーネーション」
第6話も難しい話です。
玄太が父親として、前の父親との葛藤に苦しみます。
なお、第5話は割愛させていただきました。
第5話は脚本の掘り下げが不十分だったからです。
8-1.亡くなったお父さんの墓参り
絵里ちゃんたちは、
亡くなったお父さんのお墓参りに行きました。
玄太には内緒のようです。
絵里「今日のことはお父さんには内緒よ」
二人「どうして?」
絵里「どうしても」
絵里ちゃんは玄太に気を遣っているようです。
(ここも、絵里ちゃんの優しさです)
ただ、
この気遣いが玄太には気に入らないようです。
8-2.絵里ちゃんが大事にしている写真
その絵里ちゃんが大事にしている写真があります。
前のお父さんとのツーショットです。
玄太には悪いと思いつつ、捨てきれないようです。
机の引き出しに大事にしまっています。
◆玄太がその写真を見つける。
その写真を玄太が見てしまったのです。
勝手に絵里ちゃんの引き出しを開けたからです。
それを見た玄太はびっくり。
と、同時に嫉妬の気持ちがわいてきた。
8-3.前のお父さんは立派だった
亡くなった鶴子の同級生が焼香にやってきました。
玄太は、その同級生に前の父親のことを聞くのです。
玄太「どうでしたか、前のお父さんは」
同級生「どうして聞くのすか?」
玄太「いや、なんか子育ての参考になると思ってね」
同級生「それは出来た人でした」
「エリート官僚で、仕事も出来たようです」
同級生「でも、必ず1日に1回は子供たちと会話をしていたようです」
玄太「そんなのどこの親でもやってるよね」
同級生「学校であったことを熱心に聞いていたようですよ」
玄太「で、人柄とかは?」
同級生「それが、話題が豊富で、説得力もあり、信念を持っていて、
それは素敵な男の人でした」
玄太「・・・」
8-4.ヒデさんの母親が上京してくる
母の日を前に、
ヒデさんのお母さんが名古屋から上京してきました。
真っ先に来たのがヒデさんの会社です。
お土産をいっぱい持って来ました。
息子がお世話になっているお礼なんですね。
母親らしいですね。
その晩、ヒデさんのアパートで親子水入らず。
ヒデ「母ちゃん、ちょっとやせたんじゃないの?」
母「そんなことありゃせん。
お前の手が大きくなっただけじゃろ」
この会話だけで親子の愛情が伝わってきます。
私の大好きなシーンです。
8-5.前のお父さんのことで口論
絵里ちゃんとまたケンカです。
理由は玄太の偏見です。
「子供たちはオレを本当のお父さんと思っていない」
と、思ったのでしょう。
しかも、例の写真のこともしゃべったのです。
「絵里は写真のお父さんのほうがいいんだろう」
言った玄太は、また後悔します。
「いやなことを言ってしまった」
「オレって、いつもどうしてこうなんだろう」
すっかり気落ちした玄太は鶴子に話しかける。
8-6.ヤコちゃんの授業参観日
翌日は母の日で、ヤコちゃんの授業参観日でした。
玄太のうちはお母さんがいないので玄太が学校に行きました。
ここで、また一騒動起きるのです。
来てくれた親たちはみんなお母さんなのに、
ヤコちゃんのおうちだけが「お父さん」でした。
それを見た男の子がいいました。
「おまえんとこの母ちゃん、ヒゲぼうぼう」
それを聞いたヤコちゃんは怒って、
その男の子を押します。
それを見た男の子のお母さんがいきり立ちます。
「大丈夫?」
「なんなんでしょうね、この子は?」
「にくたらしい子だね」
「まるで『すけばん』だよ』
それを聞いた玄太は・・
自分の子を『すけばん』と呼ばれた玄太はもう我慢できません。
その母親とケンカに・・。
ムキなるところが玄太らしいですよね。
◆補足(この強引な展開を考える)
読者のみなさんもお気づきになったと思います。
この授業参観の場面です。
少し不自然で、
強引過ぎる感じがしますよね。
①父親がいるのに、
お母さんたちに「ありがとう」と、
言わせる先生の配慮のなさが不自然。
②男の子がヤコちゃんの悪口をいう。
「おまえの母ちゃん、ヒゲぼうぼう」
③ヤコちゃんに突っつかれた男の子の母親が、
ヤコちゃんのことをぼろくそに言う。
『すけばん』だと。
たしかに、
強引なところもありますが、
決して「非現実」とまでは言えないと思っています。
その背景がよく分からないからです。
先生や男の子、男の子の母親の設定次第では、
こういう展開もあり得ると思っています。
むしろ、
一番不自然なのが玄太の言動です。
この不自然さがゆえに、
このドラマが成り立っています。
「許せない!」
と思ったら、もう止まりません。
ヤコちゃんに『すけばん』と言った母親が、
許せなかったのです。
こいういうストレートな大人がいることが不自然なのです。
しかし、
そこが玄太のいいところです。
そこが玄太の真骨頂です。
むしろ、
この玄太の言動を引き出す布石として、
こんな状況を作ったのだと私は思っています。
整理しますね。
玄太が怒るまでの経緯は決してやり過ぎでもなければ、
不自然でもありません。
むしろ、玄太がみんなの前で怒って、
あの母親に「外に出ろ!」と言った方が、
やり過ぎで、不自然です。
と言いながら、
私はスッキリしていますけどね。
そうなんです。
不自然イコール、こんな人はいない。
となりますが、
そこがうらやましいのです。
そこが、
ジーンとくるのです。
8-7.子供たちとケンカ
その晩、
また子供たちとケンカをしてしまいました。
絵里「あんなケンカはやめて」
玄太「あれはケンカなんかじゃないよ」
「だって正当な理由があるもん」
絵里「恥をかくのはヤコちゃんなのよ」
玄太「・・・」
8-8.ヒデさんのお母さんが
居場所を失った玄太は外で酒を飲んだあと、
ヒデさんのアパートに。
そこに、ヒデさんの帰りを待つ母親がいました。
母親「玄太さん、私は何にも分かっていませんが・・」
「あんたも、子供さんも、
お互いに好きだからケンカしているのと違うの?」
「私にはそう見えるのよ」
母親「私は親としては失格かも知れません」
「しかし、7人の子供を育ててきました」
母親「そのなかでやってきたことは一つだけ」
母親「子供たちに好きなことをやらせたこと」
「親はそれをじっと見ているだけだよ」
ここで、玄太は何かを悟ったようです。
8-9.子供たちからのプレゼント
バツが悪そうに家に帰って来た玄太は、
部屋の様子が少し違うのに気がつく。
「ふとんをしいただけで騙されるもんか」
といって、
枕元を見ると何かが置いていました。
絵里ちゃんの大事な写真と、
手紙と、
赤いカーネーションが3本。
ただ、
絵里ちゃんの大事な写真には×印が書かれていました。
絵里ちゃんの決断でしょう。
「昔のお父さんのことは忘れる」という決断なんでしょう。
◆手紙を読んで泣きながら写真を修復
手紙はヤコちゃんからでした。
母の日の作文です。
そこには、こう書かれていました。
「わたし、お父さんがだーいすき」
これを読んだ玄太は大泣きしました。
そばには3本のカーネーションが置かれていました。
多分、作文は絵里ちゃんがヤコちゃんに言い聞かせたのでしょう。
ということは、
絵里ちゃんは玄太を許したのですね。
そして、絵里ちゃんの写真を丁寧に修復しました。
バツ印を消したのです。
これで、玄太は吹っ切れました。
オレにはオレの愛し方がある。
それしか出来ないんだ。
よかったね。
今回も沢山泣きました。
ありがとう玄太。
そしてみんな。
9.第7話「あたし、赤ちゃんが欲しい」
第7話も難しい話です。
男女間の話です。
絵里ちゃんが大人になっていく過程を描いています。
絵里ちゃんにボーイフレンドが出来たのです。
それを知った玄太の慌てよう。
その前にキーワードを紹介しておきます。
『空中分解』
この言葉を覚えておいてくださいね。
面白いですから。
9-1.絵里ちゃんにボーイフレンドが
絵里ちゃんにボーイフレンドが出来ました。
ひょんなことから、
そのことを知った玄太は心配でたまりません。
さっそく、
それを確かめるために絵里ちゃんのあとを付けていくことに。
途中、バスにも乗り込みます。
玄太らしいですよね。
途中見つからなければ良いのですが・・。
◆ボーイフレンドが乗ってくる。
途中、ボーイフレンドがバスに乗ってきました。
絵里ちゃんが嬉しそうです。
本の貸し借りをしているようです。
「どう?この前の本面白かった?」
「うん、とっても面白かった」
「じゃ、こんな本はどうかな?」
◆因数分解。
途中から勉強の話に・・
高校生「算数、いま何習ってるの?」
絵里「因数分解よ」、「難しくって」
高校生「オレ、教えてやるよ」、「算数だけは得意なんだ」
絵里「ありがとう」
それを聞いていた玄太は面白くなさそう。
「因数分解???」
9-2.ボーイフレンドの学校に乗り込む
とうとう玄太はボーイフレンドの学校に乗り込みました。
担任を呼び出して話をしたのです。
玄太「何とかしてくださいよ」
玄太「おたくの生徒がうちの娘に手を出して」
先生「何か悪いことでもしたのですか?」
玄太「何かあったからでは遅すぎますよ」
玄太「お宅の学校はどんな指導をしているのですか?」
「『空中分解』とか・・」
先生「『空中分解』??」
「あっ、因数分解のことですね」
玄太は因数分解のことを『空中分解』と
間違ったのですね。
これには笑いました。
今でも思い出しては笑っています。
ということで、
その生徒を呼んで事実を確認することに。
そこで、
やましいことはしていないことが分かりました。
しかし、
玄太の家庭事情を考えて、当面は付き合うことをやめるように、
とその生徒を指導しました。
生徒は分かったようです。
玄太も一安心です。
9-3.絶交宣言
その生徒は、さっそく絵里ちゃんに会いました。
絶交宣言をするためです。
高校生「そういうことなので、付き合うことは止めよう」
絵里「なんで?私たち何もやましいことはしていないのに」
高校生「俺、トラブルに巻き込まれるのはイヤなんだ」
絵里「・・・」
9-4.その晩、ケンカに
その晩、絵里ちゃんと玄太はケンカをしてしまいました。
もちろん、悪いのは玄太です。
ボーイフレンドと絶交になったこと。
それが玄太のせいだということも。
絵里「どうして彼の学校まで行ったの?」
玄太「親が子の心配するのがどこが悪いのか?」
絵里「私を自分の子と思ってないくせに」
「父親だったら私を信用してよ」
「信用していないから干渉なんかするのでしょう」
玄太「バカーっ」
勢い余って、絵里ちゃんをなぐってしまいました。
そのあと、玄太は謝ろうとしますが時既に遅しです。
◆おばさんちで・・
絵里ちゃんはおばさんちに行って、泣きました。
「かわいそうにね」
「いままで、随分と我慢してきたからね」
9-5.ボーイフレンドに土下座
その夜、玄太はヒデさんのアパートに泊まりました。
家では絵里ちゃんが玄太の帰りを心配そうに待っています。
(このころから、
絵里ちゃんは少しずつ心の変化が出てきたようです)
一方、
池中玄大は翌朝早くバス停にいました。
ボーイフレンドに会って、
絵里ちゃとの再交際をお願いするためです。
「ねえ、お願いです」
「また絵里と付きあってください」
「お願いです」
池中玄大は、
ご覧のように土下座してまでお願いしました。
◆自分のことより絵里ちゃんのことが。
そうなんです。
池中玄大は自分のことなんか、これぽっちも考えていません。
絵里ちゃんのことで頭が一杯なのです。
だから、
周りのことなんか一切気にしません。
目に入りません。
だから、みんなが見ているなかで、
平気で「土下座」ができるのです。
それだけ必死なのですね。
自分のことより、
絵里ちゃんのことが大事なのです。
池中玄大という人はそういう人なのです。
9-6.絵里ちゃんが少し大人に
その様子を後ろのバスから見ていた絵里ちゃんは、
バスから降りて行って玄太に言ったのです。
絵里「もういいのよお父さん」
玄太「・・・」
絵里「お父さんって何て人なの?」
「やっとお母さんの気持ちが分かってきたような気がするわ」
「今度は、もっと素敵な男を探すわ」
「お父さんみたいにガンバル人をね」
◆このシーンを見逃さないでね。
ところで、このシーンをみてくれたでしょうか。
絵里ちゃんがバスから降りて、玄太に会いに行く場面です。
このときに、
絵里ちゃんは頬に手をやりました。(下の写真)
これは、
夕べ、お父さんにたたかれたことを思い出したからです。
あのたたかれたことで目を覚ましたのです。
彼からの絶交のことを納得したのです。
だから、
あの最後のセリフになったのです。
「もういいのよお父さん」
◆監督の指示?
あの絵里ちゃんの動作(ほおに手をあてるしぐさ)は、
監督の指示だと思います。
細かいことですが、このしぐさが生きています。
見逃したかたは今度よく見てくださいね。
◆絵里ちゃんの心境の変化。
ここで、
絵里ちゃんの心境の変化について解説しておきます。
絵里ちゃんが彼から絶交宣言されたときに、
絵里ちゃんは彼のことをあきらめていました。
しつこく交際を求めようとしませんでした。
なにかぴんとくるものがあったのでしょう。
それは父親(池中玄大)との比較でした。
玄太だったら、
彼のように周りの意見や抵抗に屈することはありません。
先生から言われたからといって、
交際をやめることなんかしません。
絵里ちゃんのことが本当に好きだったら、
あきらることなんて出来ません。
高校生の絶交の理由は、
「トラブルに巻き込まれるのがイヤ」
でした。
それはないでしょう。
そんな薄っぺらな気持ちで絵里ちゃんと付きあっていたのですか?
あのとき、絵里ちゃんは分かったのです。
彼の本心が・・。
父(池中玄大)とは較べものになりません。
それが証拠に、
最後の場面で絵里ちゃんがいいましたよね。
「お父さんみたいにガンバル人を探すわ」
そして、
お母さんの気持ちが分かってきたと。
やっぱり、
絵里ちゃんには玄太しかいません。
玄太が最高のお父さんだし、
最高の「彼」なのです。
良かったね、池中玄大。
10.第14話「お母さんは一人だけ」
第14話は親子の話です。
子供を捨てた母親がその子供を引き取りに来る話です。
少し考えさせられる話です。
昨今の児童虐待の問題にも通じます。
なお、この14話だけはパートⅡです。
よって、
主題歌が「もしもピアノが弾けたなら」に変わっています。
10-1.光男のお母さんが玄太をたずねてくる
池中玄大は他人の子供を預かっていました。
母親が子供をおいて、男と逃げて行ったからです。
その子の名前は光男(みつお)と言います。
とても聞き分けの良い男の子です。
聞き分けがいい分、玄太は気になっていました。
光男が周囲に気を遣っているように見えたからです。
子供なりに、
自分のおかれている状況が分かっていたからなのでしょう。
だから、
光男がかわいそうで仕方がありません。
◆ある日、母親が玄太を訪ねてくる。
ある日、玄太のところに光男の母親がやってきました。
光男を引き取るつもりです。
母親は改心したようです。
母親「光男はどうしていますか?」
玄太「元気でいるよ」
母親「じゃ、あのまま預かってくれたのですね」
玄太「昌代さん(母親の名前)、あなたには言いたいことが沢山あるよ」
玄太「あんたと一緒に逃げたあの男は?」
母親「帰ちゃったの、奥さんのところに」
母親「それで、やっと目が覚めたの」
「光男に会いたくなったの」
「今度こそ真面目に働いて光男を引き取ろうと思ってるの」
玄太「働くって、どうせ水商売だろう」
玄太「そんな女に光男を渡せるか」
(ここで昌代(母親)が泣く)
玄太「そんなんでごまかされやしないよ」
母親の真剣さは理解はしたものの、
今までのことがあるし、
それ以上に、光男が大好きな玄太としては、
複雑な気持ちでした。
10-2.光男の顔を見にお母さんが
母親が玄太の家の前に。
そっと光男の様子を見に来たのです。
そこで近所の奥さんに見つかり、光男のことを聞く。
母親「ここにいる男の子だけど」
近所の奥さん「ああ、あの男の子かい」
「別の女と出来た子なのかい?」
「やっぱりね」
「自分の子なんだね」
「よく可愛がっているわよ」
「ほかの3人は、自分の子ではないらしいわよ」
この近所の奥さんの話を聞いて、
昌代(母親)は玄太のやさしさが分かったようです。
光男のことを
我が子のように可愛がっている。
そのことが分かったのです。
10-3.玄太はお母さんの仕事ぶりを見に
玄太は玄太で、その母親のことが心配です。
同僚のヒデさんと一緒に母親の仕事振りを見に来ました。
それはビルの清掃でした。
そこで黙々と働く母親を見つけました。
前のような「水商売」ではありません。
ここで、
玄太は確信したようです。
「これだったら光男を預けることが出来る」
10-4.玄太が光男をさとす
その晩、母親を玄太の家に招待します。
その日は光男の誕生日で、
家では誕生日パーティーをする予定でした。
その前に、
玄太は光男を別の部屋につれていきます。
そこで二人だけで話をします。
玄太「お母さんが迎えに来たよ」
「お母さんのところに戻れ」
光男「お母さんなんか嫌いだよ」
(ここで光男があばれて玄太に当たります)
玄太「よく聞け。これは男同士の話なんだ」
玄太「お母さんを嫌うのはよく分かる」
玄太「でも、お母さんはあやまっているんだよ」
玄太「お母さんは、一生かけて光男にあやまると言っているんだ」
玄太「だからお母さんを許してやろう」
聞き分けのいい光男です。
玄太の話をすぐに理解しました。
◆聞き分けがいいんじゃない。
これは私の意見です。
光男が玄太の話を聞いて、
母親を許すことになったのは、
決して、
光男が聞き分けのいい子だからではないと思っています。
話をした相手が池中玄大だったからです。
玄太の真剣な話が、光男の心を動かしたのです。
それは、
そのときの話しぶりだけではありません。
それまでの玄太の光男への接し方が、
玄太への信頼となっていたのです。
光男は玄太をお父さんのように慕っていました。
お父さんのような玄太だから、
光男は納得したのです。
10-5.お母さんと再会
光男は玄太の話が分かったらしい。
みんなのいるところに戻って、お母さんに会います。
さあ、みんな揃いました。
今日は光男くんの誕生日です。
みんなで光男くんの誕生日を祝います。
ケーキのローソクに火が入り、
楽しいパーティーが始まりました。
お母さんもうれしそうです。
◆玄太は複雑。
部屋に戻った玄太は一人で泣いています。
光男が母親のところに戻ることはうれしいことです。
でも、そうなると光男と別れなければならなくなります。
そのうれしいことと、さびしい気持ちが交錯して、
玄太は複雑な気持ちなのです。
そうなんです。
この出来事は光男を成長させただけでなく、
池中玄大も成長させたのです。
もちろん、三人の子供たちも。
11.まとめ
どうでしたか。
いいドラマでしょう。
このドラマ、
今のように、そんなにお金は使っていません。
しかし、視聴率は良かったようです。
視聴率 : 20~30%
しかし、この高視聴率は不思議ではありません。
この内容でしたら当然です。
今のドラマより、しっかりしています。
だから、
40年前のドラマですが、ちっとも古くさくないのです。
◆撮影場所は屋内で限られている。
お金をかけていないと思われるのは、
撮影場所が「屋内」で、
その場所も限られているからです。
<主な撮影場所>
①池中家
②池中家が借りている大家さんのお家
③通信社(池中玄太の勤務場所)
④通信社が入っているビルの中にある「喫茶店」
※その他、ストーリーごとにいくつかの追加場所があります。
(鳥の研究家のお家など)
◆脚本が練られている。
私が一番関心させられたのは、脚本が練られていることです。
題材は一般家庭にあるようなものです。
それを、丁寧に扱かっています。
ホント、バカがつくぐらい真面目に扱っています。
たしかに、
展開的には「出来すぎ」なところもあります。
しかし、
これは、
脚本家の「理想」を描いていると思っています。
「世の中がこうだったらいいなあ」
との思いがあふれています。
だから、
私的には決して違和感はありませんでした。
むしろホッとしています。
「いいなあ」と思っています。
◆役者がいい。
役者が個性的でいいですね。
脚本の意図を完璧に理解しています。
だから、ドラマなんだけどドラマらしくない。
いたって自然です。
泣くシーンなんか、実際に泣いているようです。
真に迫っています。
◆アドリブがふんだん。
そして、アドリブがふんだんです。
とくに男同士で言い合うシーンです。
◇編集長と池中玄大
◇池中玄大と仕事仲間の「ヒデ」
それぞれ口が悪いのですが、非情に温かみがあります。
その温かみの裏返しとして相手を「ぼろくそ」にいうのですが、
その裏に「やさしさ」があるので、ちっとも冷たくありません。
◆パワハラなんてない。
「パワハラ」なんてありません。
このドラマは「パワハラ」とは、まったく別な世界なのです。
しかし、口は悪いですよ。
でも、口の悪さが、こんなにも心地よいものかと思ったのは、
このドラマが初めてです。
不思議です。
パワハラとは無関係な世界です。
◆子供の虐待とは無縁。
このドラマを見ながら考えました。
それは子供の虐待です。
親が子供を虐待する。
こんな理不尽なことはありません。
絶対に間違っています。
こんな理不尽な子供の虐待を考えると、
その対策のヒントがこのドラマにはあるように思えてなりません。
①相手を思いやる。
②自分のことは二の次。
③今の自分に感謝。
このことが出来れば虐待はなくなります。
とにかく一度見てください。
きっと幸せな気分になります。
「そんな人間、いないよ」
そうですよね。
そうかも知れません。
こんな出来過ぎな人っていないかもしれません。
だから、うらやましいのです。
だから、「いいなあ」と思うのです。
たしかに、現実は厳しいものです。
だから、
だからこそ、理想にあこがれるのではないでしょうか。
だからこそ、
その理想に夢と希望を見るのではないでしょうか。
12.寅さんに似ている
前から思っていました。
池中玄太って、誰かに似ているなあと。
やっと、その答えが分かりました。
それは、
「男はつらいよ」の「寅さん」です。
二人とも昭和を駆け抜けた人です。
自由奔放に生きた人です。
◆似ているところ。
似ているところといえば、
下記ではないでしょうか。
①二人とも「バカ」がつくほど親切。
そうなんですね。
寅さんも玄太も本当にお人好しなんです。
自分のことは、これっぽちも考えていません。
いつも他人の事ばっかりを心配しています。
②性格が素直。
次に性格が素直なところも似ています。
まあ「素直」といえば聞こえはよいのですが、
ハッキリ言って「幼い」って感じです。
子供なんですね。
③行動がストレート。
これは上記の「素直」と似ていますが、
やることに「迷い」がありません。
常に思ったことを、そのまま行動に出します。
時には、思う前に行動しているときさえあります。
裏を返せば、
「おっちょこちょい」となりますでしょうか。
この変が人間らしいとか、分かりやすいとか、
かわい~とかになります。
④涙もろい。
これもうなづけますよね。
感情がそのまま行動にでるのと同じで、
感情がそのまま「涙」になります。
泣き出したらもう止まりません。
人前であろうがかまわずに、
すぐにえーん、えーんと泣き出します。
⑤周りにやさしい人たちがいる。
ここも大事なところです。
玄太にも寅さんにも周りにやさしい人たちが大勢います。
たまにはケンカもしますが、根はやさしい人ばかりです。
◆ちょっと違うところ。
一方、違うところと言えば下記になります。
①結婚の有無。
玄太は結婚しています。
(すぐに奥さんを亡くしますが)
一方、寅さんは結婚していません。
(結婚するところまで行くのですが、
いつも振られます)
②子供の有無。
玄太には子供がいます。
といっても、奥さん(鶴子)の連れ子です。
三人いて、みんな女の子です。
一方、寅さんには子供はいません。
いわゆる隠し子もありません。
(映画の中では隠し子ではと、
誤解されるシーンもありましたが)
③親兄弟。
玄太の親兄弟は不明です。
多分いないのではないかと思います。
天涯孤独のようです。
一方で寅さんにはかわいい妹がいます。
(さくら)
「おじちゃん」、「おばちゃん」もいます。
④職業。
この職業が面白いのです。
玄太は定職についています。
新聞社のカメラマンです。
立派なサラリーマンです。
一方、寅さんは「テキヤ」といって、
道ばた家業です。
定職とは言えません。
給料もボーナスもありません。
その日暮らしです。
⑤住所。
玄太は自分の家があります。
そこで娘3人と暮らしています。
一方、寅さんには決まった家がありません。
住所不定です。
いつも、あてもない旅をしています。
たまに故郷の柴又に帰って来ると、
「おじちゃん」の家に居候(いそうろう)します。
このように、おかれた状況はかなり違います。
状況が違うがため、日常の出来事が違ってきます。
その日常の出来事の中で、
玄太や寅さんが、
どんなふうに対応(生きて)いくのかを見るのが楽しいのです。
その対応ぶり(生き様)が、見る人の心をとらえるのです。
13.山崎銀次郎にも
似ている人物で、もうひとり思い出しました。
こちらは、漫画の主人公です。
「山崎銀次郎」です。
天涯孤独で、めっぽうケンカの強い男です。
親兄弟はいないが、
とにかく、明るくて、やさしくて、強い。
まさに「太陽の子」といった感じです。
もちろん、池中玄大とはおかれている状況は違いますが、
共通点も多いのではないかと思っています。
詳しくは山崎銀次郎の漫画をみてください。
多分、みなさんも共感すると思いますよ。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
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※更新履歴※
【更新】2019年11月20日、21日、2020年1月8日、2月16日、3月2日、6月27日、10月26日、11月23日、2021年4月12日、9月17日、2022年11月5日
少しだけ校正させていただきました。
【更新】2020年1月6日
タイトルを少し変更しました。
【更新】2019年9月29日
一部加筆修正しました。
※CMリンク※
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