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こんにちは、拙作ブログのご紹介です。このブログは河原健次がお届けしています。大分市出身、木更津市在住です。すでに半世紀以上も生存しています。その長い歴史から、日常生活や人生に参考になりそうな情報を提供しています。読者のみなさんに役立つことを願っています。

男はつらいよ第39作、寅さんは人間の鏡、仏様だ

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 こんにちは。
拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は「寅さん」について考えてみたいと思います。

といっても、私の見た寅さん像です。

その寅さん像を、
具体的な映画を通して、
見ていきたいと思います。

 

1)映画「男はつらいよ

映画「男はつらいよ」の概要は下記です。

◇原作、監督:山田洋次

◇脚本:山田洋次ほか

◇撮影:高羽哲夫(たかは てつお)*1

◇概要:渥美清(あつみ きよし)さん演じる「寅さん」が主人公の下町人情コメディ映画です。全48作から成り、『一人の俳優が演じたもっとも長い映画シリーズ』として、ギネス認定もされている名作中の名作です。

*1 撮影(カメラマン)についてひとこと。
私もカメラマンですので、
男はつらいよのカメラワークについてひとこと。

◆脇役を同時に入れる。

男はつらいよのカットには主役だけでなく、
必ず脇役を入れています。

脇役は人間に限ってはいません。

動物、植物などと、いろいろです。

場合によっては、家具や道具も入れます。

それらの脇役から、
画面に立体感奥行きを持たせています。

◆ピント位置にも配慮。

さらにスゴイのは、ピント位置に神経を使っていることです。

被写界深度を浅くしたり、
深くしたりして、

主役と脇役の関係を強調しているのです。

このへんのカメラワークは、
さすが「高羽」さんです。

 

 

 

1.映画の歴史

まずは、映画「男はつらいよ」を振り返ります。

全部で48作品あります。

この映画の前には、テレビドラマもあったようですが、
私は、ほとんど見ていませんので、
映画だけを取り上げていきます。

 

映画は全作品のDVDを持っています。
もちろん、すでに5~6回は見ています。

 

下記一覧には、マドンナ役も入れておきます。

 

太字は今回取り上げた作品です。

 

1.男はつらいよ(1969年)光本幸子
2.続・男はつらいよ(1969年)佐藤オリエ
3.男はつらいよ・フーテンの寅(1970年)香山美子
4.新・男はつらいよ(1970年)栗原小巻
5.男はつらいよ・望郷篇(1970年)長山藍子
6.男はつらいよ・純情篇(1971年)若尾文子
7.男はつらいよ・奮闘篇(1971年)榊原るみ
8.男はつらいよ・寅次郎恋歌(1971年)池内淳子
9.男はつらいよ・柴又慕情(1972年)吉永小百合
10.男はつらいよ・寅次郎夢枕(1972年)八千草薫
11.男はつらいよ・寅次郎忘れな草(1973年)浅丘ルリ子
12.男はつらいよ・私の寅さん(1973年)岸恵子
13.男はつらいよ・寅次郎恋やつれ(1974年)吉永小百合
14.男はつらいよ・寅次郎子守唄(1974年)十朱幸代
15.男はつらいよ・寅次郎相合傘(1975年)浅丘ルリ子
16.男はつらいよ葛飾立志篇(1975年)樫山文枝
17.男はつらいよ・寅次郎夕焼け小焼け(1976年)太地喜和子
18.男はつらいよ・寅次郎純情詩集(1976年)京マチ子檀ふみ
19.男はつらいよ・寅次郎と殿様(1977年)真野響子
20.男はつらいよ・寅次郎頑張れ!(1977年)大竹しのぶ藤村志保
21.男はつらいよ・寅次郎わが道をゆく(1978年)木の実ナナ
22.男はつらいよ・噂の寅次郎(1978年)大原麗子
23.男はつらいよ・翔んでる寅次郎(1979年)桃井かおり
24.男はつらいよ・寅次郎春の夢(1979年)香川京子林寛子
25.男はつらいよ・寅次郎ハイビスカスの花(1980年)浅丘ルリ子
26.男はつらいよ・寅次郎かもめ歌(1980年)伊藤蘭
27.男はつらいよ・浪花の恋の寅次郎(1981年)松坂慶子
28.男はつらいよ・寅次郎紙風船(1981年)音無美紀子、岸本加世子
29.男はつらいよ・寅次郎あじさいの恋(1982年)いしだあゆみ
30.男はつらいよ・花も嵐も寅次郎(1982年)田中裕子
31.男はつらいよ・旅と女と寅次郎(1983年)都はるみ
32.男はつらいよ・口笛を吹く寅次郎(1983年)竹下景子
33.男はつらいよ・夜霧にむせぶ寅次郎(1984年)中原理恵
34.男はつらいよ・寅次郎真実一路(1984年)大原麗子
35.男はつらいよ・寅次郎恋愛塾(1985年)樋口可南子
36.男はつらいよ・柴又より愛をこめて(1985年)栗原小巻
37.男はつらいよ・幸福の青い鳥(1986年)志穂美悦子
38.男はつらいよ・知床慕情(1987年)竹下景子
39.男はつらいよ・寅次郎物語(1987年)
  秋吉久美子五月みどり

40.男はつらいよ・寅次郎サラダ記念日(1988年)三田佳子
41.男はつらいよ・寅次郎心の旅路(1989年)竹下景子
42.男はつらいよ・ぼくの伯父さん(1989年)後藤久美子檀ふみ
43.男はつらいよ・寅次郎の休日(1990年)後藤久美子夏木マリ
44.男はつらいよ・寅次郎の告白(1991年)後藤久美子吉田日出子
45.男はつらいよ・寅次郎の青春(1992年)風吹ジュン
46.男はつらいよ・寅次郎の縁談(1993年)松坂慶子
47.男はつらいよ・拝啓車寅次郎様(1994年)小林幸子、かたせ梨乃、牧瀬里穂
48.男はつらいよ・寅次郎紅の花(1995年)浅丘ルリ子

 

2.今回の作品

今回取り上げるのは下記作品です。

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第39作『寅次郎物語

第39作 (昭和62年12月 公開)
男はつらいよ次郎物語

 

【主な出演者】主な出演者

◇マドンナ 秋吉久美子(化粧品のセールス、
寅さんと「父さん」、「母さん」と呼び合う関係に)

◇秀吉(役名):幼い頃に母と生き別れた少年。
寅さんが「名付け親」

五月みどり:秀吉の実の母。

笹野高史:旅館の主人。

松村達雄:秀吉が熱を出したときに診察する老医者。

 

3.あらすじ

 福島から寅さんを訪ねてきた秀吉少年。父親である寅さんのテキヤ仲間の政吉が亡くなり、位牌を持って施設から逃げて来た秀吉には、産みの母がいるという。寅さんは秀吉を連れて、大阪から和歌山へと、母を訪ねる旅を続ける。ある夜、奈良県吉野の旅館で、秀吉は旅の疲れから高熱を出す。隣の部屋の客・隆子(秋吉久美子)は協力を申し出て、寅さんと共に夜を徹しての看病をする。


いつしか、
「とうさん、かあさん」と
呼び合うようになった寅さんと隆子だった。

 

4.秀吉が熱を出した夜

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1)寅さんが慌てているときに。

寅さんたちの隣の部屋に泊まっていた、
秋吉久美子が、寅さんの慌て振りに見かねて、

 

「子供は私がみているから
父さんはお医者さんを」

 

2)老医者(松村達雄)が旅館に来る。

実はこの老医者、専門は耳鼻科らしい。

しかも既に引退している。

わらっちゃいますよね。

 

その医者を寅さんが、たたき起こして連れてきたのだ。

 

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医者 「こりゃ大変だ」

医者 「割り箸を」

旅館の主人 「何か食べるんでっか」

医者 「ばかもん、舌を見るんだ」

 

(寅さんと秋吉久美子が言い合っているところに)

 

医者 「こんなときに、何を夫婦げんかしとるんじゃ」

 

(と、ここで寅さんと秋吉久美子
「夫婦」と間違える

 

医者 「コーヒーじゃ」

旅館の主人 「えっ、コーヒーがきくんでっか」

医者 「バカ、わしが飲むんじゃ」

医者 「お尻を出せ」

秋吉久美子が恥ずかしそうにする)

医者 「ばか、子供のじゃ」

 

このへんのやりとりが、
コミカルで笑えました。

 

切羽詰まったなかでの「笑い」

 

です。
みんなの真剣さが笑いになって、


少しホッとさせるシーンです。

 

このへんの
山田監督の見事な演出です。

  

5.翌朝、秀吉の熱が下がる(見せ場)

翌朝、薬と二人(寅さん、秋吉久美子)の看病がきき、
秀吉の熱が下がります。

 

秀吉 「喉が渇いた」(小声で)

秋吉久美子 「えっ」(少し嬉しそう)

 

と秀吉の額に手をあてると熱が下がっていました。

 

秋吉久美子は秀吉を抱いて、
我が子のように喜ぶ。

 

秋吉久美子 「飲み物買ってくるね」

      「牛乳?、それともジュース?」

     「両方買ってくるね」

 

自販機を扱う、秋吉久美子の動作がかろやか。


寝ずの看病疲れがいっぺんに吹っ飛んだ瞬間です。

 

6.命の尊さ

ここが、本作品のポイントです。

秋吉久美子 

 「子供の唇が真っ青になったとき、

  どうしようかと思った」

 「生き返って本当に良かった」

 「子供の熱が下がったとき、
  私の命まで取り返したような気持ちになった」

寅さん

 「母さん、ありがとう」

 「母さんは、まだ若い」

 「生きていれば、きっといいことが
沢山まってるよ」

 

※実はこのセリフは映画の最後にも出てきます。

( 満男と寅さんとの会話の中で)

 

7.秀吉との別れ

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伊勢志摩にいた母親に秀吉を渡した寅さんは、
その日のうちに船に乗って柴又に帰ります。

秀吉 「ボクも一緒に帰る」

寅さん 「だめだ」

    「俺と一緒だと、おまえのダメ親父のようになる」

(そういいながら、ハンカチを渡す)

    「これでふけ」

秀吉は岸壁を走って寅さんの船を見送る。

目には涙がいっぱいです。

 

途中で、
怒って寅さんにもらったハンカチを
地面に投げ捨てる。

しかし、
思い返したのでしょう。

そのハンカチを
そっと拾って涙を拭く。

 

この瞬間、
秀吉は少しだけ大人に
なったのです。

 

山田監督のにくい演出です。

 

8.テーマは「人生」

そうです。

この作品のテーマは「人生」です。

 

甥の満男 「伯父さん、人間は何のために生きてるの」

寅さん

 「何というかな、“あぁ、生まれて来て良かったな” って思う事が何  べんかあるじゃない。そのために生きてんじゃねえか」

 「そのうちお前にも、そういう時が来るよ。まあ、がんばれ」

 

この言葉は、秀吉の母親探しの途中でも出ましたよね。

寅さんは秋吉久美子に、こういいました。

「生きていれば、きっといいことが沢山まってるよ」

 

9.秀吉の母親からも

秀吉の母親から寅さんへの年賀状にはこうありました。

「生きていてよかったと心から思っています」

そうなんですよね。

生きているだけで、
いつかは幸せが訪れるのですよね。

だから、
生きているだけでいいんですよね。。

 

10.最後の締めは、寅さんのこの言葉

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映画の最後のシーン。
ここが見事です。

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新年が明けました。
お正月です。

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秀吉と母親が楽しそうに歩いています。

それを見かけた寅さんは、

声をかけません。

 

折角の水入らずのところを、
邪魔をしてはいけないと思ったのでしょう。

 

しかも、自分は「ヤクザ」です。

そんな男が声をかけちゃいけない。

 

と思ったのでしょう。

 

その楽しそうに歩く親子のそばには、
一人の男性がいました。

例の船長です。

寅さんが秀吉を母親に会わせるときに
お世話してくれた船長です。

 

寅さん 「新しい、てて親だなあ」

    「いいだろう」

    「あいつだったら、いいだろう」

 

そうなんです。
秀吉を母親に会わせるときに立ち会った船長です。

あのときに、母親と一緒に大泣きした船長です。

それを知っていたから、

あいつだったら、いいだろう」

と、なったのです。

 

その言葉を発する寅さんは、
真面目な顔をしていました。

 

普通の寅さんではありませんでした。
鋭いまなざしをしていました。

このへんの人を見る鋭さは見事なものです。

ただの愚か者ではありません。

 

11.御前様いわく

さくら(寅さんの妹)から、
一連の話をきいた帝釈天の御前様が言いました。

御前様 「きっと仏様が寅の体を借りて、
    天から降りてきたのじゃろう」

   「仏様は愚者(ぐしゃ)が好きだからのー」

   「しかし、寅は半端な愚者(おろかもの)じゃないぞ」

 

12.まとめ

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どうでしたか。

この39作品はほかの寅さんとは少し違っていましたが、
そこのところがお分かりになったでしょうか。

◆まともな人間。

そうなんです、普段の寅さんと違って、
今回は、まともな人間でした。

少年「秀吉」を諭すところなんかは「できすぎ」です。

あれが、本当の寅さんさんではないかと思っています。

 

◆「満男」は知っていた。

江戸川で、


満男が秀吉に『俺はおじさんのこと、かってるんだ』

というシーンからありました。

 

そうなんです。

満男は寅さんの「良さ」を知っていたのですね。

鋭い、

というか、

満男も寅さんと同様、
純粋な心の持ち主だったでんですね。

 

◆おさらい。

最後にこの作品のポイントを振り返ります。

<母親を探しに行く秀吉が中心>

①「とらや」のみんながやさしい。

②御前さまもやさしい。

③旅先のみんなもやさしい。

とくに「かあさん」こと、
秋吉久美子がやさしかった。

見ず知らずの子供を
我が子のように看病しました。

「私にもこんな年頃の子供がいたんよ」

と述懐する秋吉久美子には、
子供を堕ろした苦い経験があったのです。

 

それぞれの人生のなかで、
秀吉にそそがれる愛情。

 

その最たるものが、
寅さんが秀吉を突き放すシーンです。

 

「自分のような人間になりたいのか」

 

寅さんは立派です。

立派すぎます。

 

寅さんは仏様です。

人生の水先案内人です。

寅さん、ありがとう。

 

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最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

 

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 【更新】2019年6月21日
中身(文章)をマイナー修正しました。
「目次」を追加しました。
これで少しは読みやすくなったと思います。

 

 
「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド