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異常ケースが大切、ソフトウェア開発のポイントは普通の仕事にも通じる

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こんにちは、

拙作ブログをご覧いただきありがとうございます。

 

今回は、

ソフトウェア開発について考えてみたいと思います。

 

というと、

特殊な専門分野を連想しますが、

ここで述べるポイントは、

普通の仕事でも使えます。

 

よって、

ソフトウェア開発に興味がなくても、

最後までお読みいただければと思っています。

 

ちなみに、

私は約50年、

ソフトウェアの開発に従事していました。

 

 

 

楽天/ソフトウェア開発

Amazon/ソフトウェア開発

 

1.ソフトウェアの特徴

ソフトウェアについて少し触れておきます。


ソフトウェアにお詳しい読者は、
本項は読み飛ばしてください。

 

1)ソフトウェアは正直。

ソフトウェアは正確かつ確実に動作します。


同じ条件であれば、同じように動作して、
同じ結果を返します。


人間のように気まぐれではありません。

 

2)ソフトウェアは経年変化がない。

ソフトウェアは劣化しません。
何年経っても故障したり、
動作がおかしくなることはありません。

 

何年経っても、
同じ条件であれば、
同じ結果を返します。


もし誤動作するとしたしたら、

原因は別なところにあります。

 

たとえば以下のようなのが原因です。


①ソフトウェアを動作させる環境(下記)に異変があった。
 ハードウェア、OS(オペレーティングシステム

②細部の動作条件が変わった。
「動作条件」とは、
該ソフトウェアの「動作タイミング」などです。


「動作タイミング」とは、
そのソフトウェアが動作する状況を意味しており、
動作環境の負荷や、排他制御の仕様によって変化します。

 

と、ここまでくると専門的になります。


同時に難しくなりますので、

このへんで止めておきましょう。

 

3)ソフトウェアは見えない。

ソフトウェアは電気と同じで、
目で見ることができません。


実は、ここがやっかいなのです。

この欠点を補うのが、

ドキュメントです。

 

しかし、
そのドキュメントでも、
不備が多いのが現実です。


「保守員」泣かせになっているのが現実です。

 

2.ソフトウェア開発の基本工程

次にソフトウェアの開発工程をみていきます。

 

2-1.私のソフトウェア経験

その前に私のソフトウェア経験をご紹介しておきます。


①経験年数:約50年

②会社:某大手鉄鋼メーカー

③分野:鉄鋼現場の制御用コンピュータシステム
※この制御用コンピュータシステムを、
我々は「プロコン」と呼んでいます。
プロセス制御用コンピュータシステムの略です。

④システム数:約500システム

 

1)開発工程

開発工程は、おおむね下記となっています。


工程名の呼称は、ソフトウェア業界によって、
少しずつ異なっているようです。


ですが、
大きな流れ(工程)はほぼ同じです。


①要求定義(機能仕様書)

ここでは、システムに組み込む機能を明確にします。


いわゆる「WHAT(何を)」
定義するものです。


よって、
作業メンバーには現場(工場)の人も参画します。

 

②機構設計(ファイル仕様書、処理仕様書)

ここでは、①で設定した機能の実現手段を明確にします。


いわゆる「HOW(どのように)」
定義するものです。


この工程で、
ある程度のシステムの概観が見えてきます。


ハードウェア仕様を決めるのも、
この工程です。

 

③プログラミング(プログラムソース)

ここでは、具体的なソフトウェアを作成します。


いわゆる「コーディング作業」です。


また、テストの一部として単体テストが含まれます。


つまり、
コーディングしたプログラムの動作検証です。


ここで行う動作検証は、

ホワイトボックステストです。


つまり、
全「カバレッジ」(ケース)が
検証の対象です。

 

3.ソフトウェア開発のポイント

以下にソフトウェア開発のポイントを列挙しておきます。

 

いずれも、

ソフトウェアの品質を左右するものです。


ソフトウェアは劣化しないし、正直です。
(上述)

 

ゆえに、

ひとたび問題のあるソフトウェアを作成すると、

とんでもない悲劇が生じます。

 

①ソフトウェアの暴走。

②不正データの書き出し。

 

銀行オンラインシステムのダウンなど、

昨今のシステムトラブルは、

ソフトウェアの品質が原因となっています。

 

つまり、

異常ケースの想定が網羅されていないのです。


分かりやすく言うと、

異常ケースが漏れているのです。

 

だから、
漏れていた異常ケースが発生した途端に、

「トラブル」です。

 

これでは、使い物になりません。

 

しかし、この使い物にならないソフトを平気で、

オンライン(本番化)しているのです。

 

「平気で」とまではいいませんが、

いろんな意味で質が低下しているのは事実です。


その質とはソフトウェア要員の質もあれば、

品質管理体制の質、

会社が品質よりコストを優先する

などの問題などがあります。


最悪時は、
その質の悪さに気づいていない組織や会社もあります。

 

困ったものです。

 

そこで、

理想のソフトウェアについて言及します。

 

理想のソフトウェアは、
異常ケースを全ケース網羅しています。


下記のような異常処理の抽出と、

適切な処理が絶対必要なのです。

 

それでも、異常ケースの洗い出しは無理です。

 

最後は、
フェイルオーバー、
フェールプルーフ
フェイルセーフで逃げます。

 

◇フェイルオーバー:系全体を正常系へ切り替えること。
(ただし、
ソフトウェアに問題があると切り替えても問題は解決しない)

◇フェールプルーフ:誤操作時には機能しないようにする。
オートマの車で、
ブレーキを踏んでいないとエンジンがかからないなど。

◇フェイルセーフ:故障時には安全サイドに動作する。
転倒時に火が消えるストーブなど。

 

4.異常ケースを想定する

ソフトウェア開発で重要なのは異常処理です。


正常処理はもちろん大事ですが、
ソフトウェアは、

異常処理のほうがもっと大事です。

 

というのも、

異常処理をどこまで考えられているかで、

そのソフトウェアの品質(信頼性)が決まる

からです。(上述)

 

つまり、
異常処理がどこまで考えられているかで

ソフトウェアの良否が決まります。

 

5.思考過程もドキュメントに残す

また、ドキュメントも大事です。


前述したようにソフトウェアは目に見えません。


だから、

ソフトウェアの中身を文書化しなければなりません。


このドキュメントが大事です。

 

5-1.思考過程も

とくに私が重視しているのは、
その処理(仕様)に至る過程です。


どういう理由で、
最終仕様(処理)にしたのか、
その過程を残すのです。

 

これは保守するときに非常に役に立ちます。

 

また、技術伝承のうえでも大事です。

 

このへんの考え方は、

ソフトウェア開発に限った話ではありません。

 

通常の仕事でも同じです。

 

作業者の思考過程を文書化する。

これを是非、心がけてください。

 

6.正常処理より異常処理

ここで、前述した異常処理を掘り下げます。

 

6-1.正常処理と異常処理の比率

その前に、ここに一つのデータがあります。

私が調べたソフトウェアの実態です。

正常処理 : 全体の10~20%

異常処理 : 全体の80~90%

%:行数比(△△処理の行数÷全行数×100)

 

どうでしょうか。
異常処理が圧倒的に多い
ことがおわかりでしょう。

 

その異常処理の例を見ていきましょう。

 

6-2.入力データ

 

入力データには下記2種類があります。

①自動入力データ。
プロセス(製造ライン)から入力されるデータ。
(重量、長さ、温度など)

 

②手動入力データ。

端末からオペレーターが入力するデータです。
製造計画など

これらの入力データに対して、
次のような処理やチェックを行います。

 

6-3.入力データの上下限チェック

まず、上下限チェックです。
上下限チェックとは、
該データのレンジ(範囲)チェックのことです。

データ<下限値 ⇒ 異常(エラー)

上限値>データ ⇒ 異常(エラー)

 

◆異常検出時の処理。
このときの異常検出時の処理例を少し詳しく解説します。

 

<異常検出時の処理例>

①ログ出力。
異常を検出したことを記録に残します。
出力するのは下記です。
検出年月日時刻、生データ(異常データ)

 

②データの置換。
スライス処理:上下限値を仮の入力データにします。

この処理は、データ置換が可能で、
しかも処理の続行を優先するときです。

 

6-4.入力データの欠値処理

次に入力データが欠値時の処理です。
欠値とは入力データがないときのことです。
途中のケーブルが断線したときなどです。

◆断線の検出。
断線(欠値)の検出は、
とんでもない値が入ってくることによって、
検知します。

あるいは、あらかじめ決まった値
(ex.16進8000など)で判別します。

 

◆異常検出時の処理。

①ログ出力。
異常を検出したことを記録に残します。
出力するのは下記です。
検出年月日時刻、生データ(異常データ)

②データの置換。
所定のデータを仮の入力データにします。

この処理は、データ置換が可能で、
しかも、処理の続行を優先するときのみです。

 

7.入力データの合理性チェック

次に少し高度なチェックです。


たとえば原料の粒度分布です。
この粒度分布の%(粒度比率)は、
合計が100%でなければなりません。

Σ各粒度データ=100% ⇒ 正常

このチェックで異常判定します。

 

◆異常検出時の処理。

この時は、ログ出力のみです。

データの置換処理はしません。
データの精度があまりにも悪いからです。

 

8.検討会(ウォークスルー)

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①メンバー:本人(設計者)、システム関係者(原則全員)

②開催時期:下記の最低2回は実施する。
 ○処理概要完成時 ○処理仕様完成時

③基本姿勢。
◇揚げ足をとらない。
個人攻撃ではありません。
◇建設的な意見に終始する。
◇感情的にならない。
◇議事録に残し、
議論した内容を出席者で共有する。

◇必ずフォロー会議を開く。
このフォロー会議で、修正内容を確認します。
◇仕様検討会にならないこと。

ここは誤解されそうですので補足しておきます。


ソフトウェア開発工程には、
WHAT(目的)とHOW(手段)があります。


ここのウォークスルーでは、
このうちのHOW(手段)
的(まと)を絞って議論します。

 

ところが、
往々にしてWHAT(目的)の議論に発展することがあります。

 

WHAT(目的)の議論は、
ユーザーの出席が必須です。

 

WHAT(目的)の決定権は、
ユーザーにあるからです。

ところが、
今回のウォークスルーはシステム関係者だけです。


そのウォークスルーでWHAT(目的)の議論をしても、
何も決まりません。

というか、この段階では、
すでにWHAT(目的)は決まっているはずです。

ここで、過去のWHAT(目的)を蒸し返すのは、
ムダな議論といえます。

ただ、確認の場として、
本ウォークスルーを活用するのは意味があります。
(よくあることです)

 

8-1.蒸し返しはよくあること

といいましたが、
実際にはHOW(手段)の議論に、
WHAT(目的)の議論が出ることはよくあります。


しかし、そのときは、
WHAT(目的)の議論は残件として保留にしておき、
別の機会に別のメンバーで整理することにしましょう。

 

9.机上デバッグ

◆大事な点。

机上デバッグで大事なのは、
思い込みを廃することです。


そのためには、
頭がさえていることが大事です。

そのためには、
机上デバッグは朝一番でやりましょう。

できれば、
会議室などで、外乱のないところが良いでしょう。

【外乱例】電話、会話など

 

10.まとめ

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どうでしたか。


ソフトウェア開発における品質管理の概要が、

ご理解いただけたと思います。

 

では、最後に、

普通の仕事でも応用できそうなものを、

ピックアップしておきましょう。

 

1)異常ケースを想定する。

普通の仕事でも、
正常ケースより、異常ケースのほうが多いと思います。
その異常ケースが、どの程度想定できるかで、
勝負(仕事の良否)が決まります。

 

2)ウォークスルー。

立案した計画は、関係者で検討会を開きましょう。
そのウォークスルーの基本マナーは下記です。

◇論理的な議論を。

◇立案者を攻撃したり、感情的になってはいけません。

 

ウォークスルーの目的は、

「いい計画」、

「いい仕事」です。


相手を丸め込めることが目的ではありません。

 

3)机上デバッグ

自らの机上デバッグ(問題点の抽出)も大事です。


そのときには、
固定観念は排除してください。


思い込みは、
机上デバッグ(問題点の抽出)を阻害します。

 

机上デバッグ(問題点の抽出)は、
良い環境良い時間帯で行いましょう。

 

4)思考過程の文書化。

 思考過程の文書化(見える化)は大事です。

それは自分自身の反省や技術伝承に役立ちます。

自分自身の反省とは、
処理内容を検証することです。

 

なんで、こうしたのか。
どうして、こうしなかったのか。

 

この思考過程が大事なのです。

それは、自分のためでもあるし、
他人(後継者)のためでもあります。

この文書化がノウハウの蓄積になります。

よって、大変ではありますが、
必ず文書化を行ってください。

 

 急がば回れ です。

 

技術は文書化(見える化)をして
初めて「技術」となります。

 

それまでは、
単なる「技(わざ)」です。

 

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

 

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※更新履歴※

【更新】2019年10月22日、2020年2月8日、24日、6月21日、11月13日、2021年8月27日、2022年10月19日
少しだけ校正させていただきました。

【更新】2019年6月25日
中身(文章)をマイナー修正しました。
「目次」を追加しました。
これで少しは読みやすくなったと思います。

※CMリンク※

 

楽天/ソフトウェア開発

Amazon/ソフトウェア開発

 

www.star.ne.jp

 

 

 


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